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業種・地域から探す
地域産業がつなぐ未来への挑戦
創業しやすい街へ、越谷市
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福田 晃 越谷市長 -
越谷特別市民 「ガーヤちゃん」 -
南越谷阿波踊りでは、美しく力強い踊りが披露された
―物価高騰やエネルギー高が中小企業に影響を与えています。市内中小企業の経営状況をどう見ていますか。
「エネルギー価格の高騰、さらに円安による生活物資や原材料費の上昇で、市内の中小企業の経営状況は厳しい状況にある。越谷市は市内500者を対象に年4回『景気動向調査』を実施している。今年8月の調査では『業況及び売上が悪い(減収)』と回答した企業が4割以上となった。エネルギー価格や物価高騰対策への支援など、ポストコロナに向けた施策が重要だ」
―中小企業振興の基本理念などを示した『越谷市中小企業振興計画』を策定しました。
「コロナ禍や人口減少による経済の縮小が懸念される中、中小企業は経済のグローバル化やデジタル技術の進展など、変化への対応が求められている。そうした中、中小企業の実態を把握するため2021年度に『中小企業実態調査』を実施した。これを受け、生産性向上や人材確保、デジタル変革(DX)推進など中小企業が抱える課題解決に向けて作成したのが『越谷市中小企業振興計画』だ。この計画では、基本理念を『地域の経済と市民の暮らしの将来を共につくる』とした。中小企業振興の目標として、創業しやすいまち、継ぎやすいまち、働きやすいまち、中小企業が元気なまち、そして、未来につながるまちの五つを定めた」
「このほか、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に向けた動きを加速する。企業、行政、市民、関係団体間で連携し、互いの強みを発揮して新ビジネスの創出につなげる。我々行政は、各者がつながる舞台を用意する」
―具体的な支援策は。
「省エネルギー化や省コスト化、効率化・高収益に向けた設備投資を行う場合、経費を一部助成する『物価高騰対策中小企業設備導入等支援補助金』を交付している。さらに、新商品開発や販路開拓などに関わる経費の一部を助成する『ビジネスパワーアップ補助金』や、市内で新事業を始める個人・中小企業に向けて初期費用を助成する『創業者支援補助金』では、ポストコロナを見据え制度をブラッシュアップしてきた」
―DX推進への取り組みは。
「DXは地域経済の持続可能性において重要な要素だ。22年度に『DX推進支援窓口』を設置し、業務のIT化、デジタル化などの相談に対応する窓口を用意した。これまでサイボウズの業務管理クラウドサービス『キントーン』などを試す機会を提供し、導入を促進した。企業にDX推進を求める一方で行政のデジタル化にも力を入れており、市長就任の21年以降、窓口業務などのオンライン化を進めてきた。オンライン申請率を就任当時の14%から25年度に80%に向上する計画だ」
―民間企業と連携しショッピングモール『イオンモール』隣地にある河川の利活用を進めています。現況は。
「水辺活用をきっかけに地域が活性化する仕組みが大切だ。21年度に、官民連携で水辺を活用する事業『Next川の再生 水辺deベンチャーチャレンジ』に登録した。カフェやコミュニティースペースの整備などを検討し、25年度中の開業を目指す。後に日本を代表する漫画家となった若者たちが過ごしたアパート『トキワ荘』のように、未来に向かい何かを生み出すエネルギーあふれる場所にする」
―今夏、花火大会や南越谷阿波踊りが4年ぶりに開催されました。
「花火大会では連続して花火を打ち上げる『スターマイン』などを多くの人に楽しんでいただけた。南越谷阿波踊りでは、美しく力強い踊りが披露され、新越谷駅・南越谷駅前を中心に阿波踊りムード一色となった。こうしたイベントは、交流人口の拡大による地域経済の活性化、シビックプライド(地域への誇り)醸成につながる。今後は“安心・調和・明るいまちづくり”をテーマにした『市民まつり』や市内産業の振興を目的とした『産業フェスタ』などのイベントを開催予定だ」
メッセージ/会員企業の課題解決を積極支援
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越谷商工会議所 会頭 井橋 吉一 氏
越谷商工会議所は、前身の越谷市商工会から2016年4月に組織変更をし、今年度で8年目を迎えることが出来ました。これもひとえに関係各位のご理解、ご協力のたまものと厚く感謝申し上げます。
さて、本年5月に新型コロナウイルスの分類が5類に引き下げられ、個人消費や企業の生産活動の回復など社会経済活動が本格的に動き出しました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、原油・原材料の高騰、急激な円安によるインフレ懸念など我が国経済を取り巻く環境は先行き不透明感を増しています。とりわけ地域産業を支える中小・小規模事業者は厳しい状況に置かれております。
このような状況の中、当商工会議所は第2期中期ビジョン(21年~25年)「『今』に応え、新たなつながりを創出する商工会議所」を掲げ、会員企業の活力強化、地域経済の活性化、組織力強化を推進すべく様々な事業を行っています。今年度は、アフターコロナの環境変化に対応する事業再構築支援など中小企業診断士等専門家と経営指導員が連携し、課題の解決に取り組むビジネスコーディネート事業を積極的に行っているところです。
また、人材定着や育成を図るための階層別セミナーの開催やデジタル化社会の進展に伴う小規模事業者へのDX推進事業を支援するなど市内企業の持続的発展に寄与する事業にも取り組んでいます。
越谷商工会議所は、「変化するニーズへ対応し【6000会員とともに】商工会議所事業による活力ある地域社会の構築」を目指すとともに地域総合経済団体としての役割を果たしてまいります。