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第三次基準、法制化へ/26年度目標
2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成という目標に向け、あらゆるシーンで一段の省エネルギー徹底が求められている。工場やビルに設置される変圧器も同様だ。変圧器は設置後、休みなく稼働を続ける。使用は20年から30年。更新時期を超えた旧型変圧器が使用されているケースも少なくない。変換効率が非常に優れたトップランナー変圧器に更新することは省エネ促進に大きな効果を発揮するとともに、設備の安全性確保に結びつく。
変圧器の省エネ基準は、省エネ法のトップランナー方式で規定されている。油入変圧器が06年から、モールド変圧器が07年から第一次判断基準適用となった。14年4月以降は第二次判断基準の適用が義務付けられている。
第二次基準ではエネルギー変換効率99%、エネルギー損失は旧形式との比較で40%低減という世界最高レベルの水準にある。とはいえ、すでにすべての事業者(製造事業者・輸入事業者)が基準を達成している。
そうした中、第6次エネルギー基本計画を踏まえ、徹底した省エネ推進のため、昨年秋から変圧器についての省エネ基準見直しの検討が始められた。総合資源エネルギー調査会の変圧器ワーキンググループでの検討結果がとりまとめられ、今年6月15日、資源エネルギー庁から発表された。そこでは、新たな省エネ基準は26年度を目標年度とし、19年度実績の省エネ性能から11・4%の改善を見込むとしている。
変圧器として第三次となる新基準はまもなく法制化される見通しだ。
ユーザーに向けて/最新機器の提供―省エネ推進に貢献
日本電機工業会
省エネ法特定エネルギー消費機器変圧器普及促進委員会
委員長 酒井 浩次氏(ダイヘン)
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、世界的に徹底した省エネルギーによるエネルギー消費効率の改善の重要性が増しており、当委員会では事業用(民生用)変圧器におけるトップランナー変圧器の普及促進に向けた活動を行っている。現在運用されているトップランナー変圧器の第二次判断基準は14年度から適用されている。23年6月15日、新たな省エネ基準に関する報告書がとりまとめられ、26年度を目標とする新基準(第三次基準)が法制化される運びとなった。
第三次基準は現行の第二次基準と比較し16・5%の改善(基準値比較)となり、現在各変圧器メーカーで開発準備が検討されている。当委員会での推測値ではあるがトップランナー基準適合以前の変圧器は国内に200万台程度残存していると想定しており、これらを最新の変圧器に更新することでエネルギー使用者における省エネ推進に大きく貢献できる。
また変圧器は静止器であることからその劣化進行の把握が困難で、長期間の使用は突然に変圧器事故が発生し電力供給支障を起こすリスクもある。そのためにも変圧器の更新はますます重要なインフラ整備であると考えている。
当委員会では今後さらなるトップランナー制度の対象機種拡大を検討していくとともに、取り扱い性の向上や保守・メンテナンスの容易性など、電気設備を取り扱う全てのユーザーに満足が得られる製品開発につなげられるよう、業界全体で努力していく。