-
業種・地域から探す
新たな価値・ビジネス創出
-
日本分析機器工業会 会長 足立 正之 氏
日本分析機器工業会(JAIMA)は分析機器の改善・高度化を追求する会員企業の支援を通じ、科学技術・経済・人びとの生活の向上に貢献している。ライフサイエンスやバイオサイエンスなどの新しい分野、エレクトロニクスなどの最先端分野の研究・開発に加えて、食品や飲料水の安全確保、環境の保全管理などで多くの分析機器や技術手法が支えている。JAIMA会長として6月に就任した堀場製作所の足立正之社長に、「JASIS2023」への抱負を聞いた。
―JAIMAの会長に就任されました。
「カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量ゼロ)への動きや地政学的なエネルギー事情と情報・半導体技術の変革、厳しいパンデミック(世界的大流行)を経験したヘルスケア分野など、スピードを上げて変化を続けている。工業会としてこうした変化や科学の進展とともに、分析・計測技術を成長させて新しい価値やビジネスを創出してきた」
「JAIMAでは①工業会活動の活性化と連携強化②新技術・新事業開発③情報発信の強化④活動人財の確保・育成⑤『JASISのさらなる発展』―五つの施策に注力して取り組んでいく。
―新型コロナウイルス感染症が5類になり、展示会来場の期待が高まります。
「多くのリアルイベントが延期・中止の中、JASISはモノづくりの技術発展の要望に応え開催を継続してきた。JASIS実行委員会を中心に開催を議論し、また過去にさかのぼり来場者アンケートを実施した。その中で、感染症防止やソーシャルディスタンス、オンラインの活用を重視して開催してきた。今回は5類になったことで、これまで以上に豊富な最新機器を出品し、多くの技術者と対面で課題解決の相談ができる。リアル展に特化し来場者に情報を発信するスローガンとして、『Come Touch JASIS』を掲げた。来て、(最新機器や技術に)触れられる展示会を目指す」
―分析機器の需要や傾向について教えて下さい。
「2022年度は各四半期の好調の状況を反映し、全体の生産高は前年度比15・4%増6866億円、輸出高は同18・9%増の4861億円となった。いずれも前年度比2桁の伸びを示し、好調に推移した。作業環境用・保安用分析機器も通期で生産高、輸出高ともに2桁のプラスとなった。22年度は当初、サプライチェーン(供給網)問題、ウクライナ侵略などの影響が懸念されていたが、円安の影響などから通期は過去最大の伸びとなり、総じて好調だった。輸入高については16年度から工業会統計調査の対象となり、22年度は前年度比23・2%減の199億円となった」
温暖化防止の取り組み加速
-
日本科学機器協会 会長 長谷川 壽一 氏
日本科学機器協会(JSIA)は科学技術の基盤を支え、日本のモノづくりに貢献している。科学機器の領域は広く、研究開発や製品開発を支援する器械、装置、道具類の総称としている。JASISで毎年、無料配布される「科学・分析機器総覧」を発行するなど積極的に事業展開している。今年は入門書として好評の「科学機器入門」をセミナー参加者に向けて無料配布する。長谷川壽一JSIA会長(英弘精機社長)に、JASISの取り組みや科学機器について話を聞いた。
―科学・分析機器総覧がJASIS開幕に合わせて配布されます。
「今回のJASISは、新型コロナウイルス感染症が5類にシフトしたことで、リアル開催を重視している。来場者の増加が見込まれる。『科学・分析機器総覧2024』を書籍版では6000冊、DVD版では3500枚を無料配布する。科学機器のバイブルとして来場者からの評価は高く、机上や本棚に置き手軽に調べ物や製品・性能比較ができるメリットがある」
「科学業界の教科書と位置付けられる『科学機器入門(第三版)』も『科学機器入門セミナー』の聴講者に無料進呈する。セミナーは8日10時半からと12時からの2回、展示会場に設けた主催者企画のJASISスクエア内特設ステージで開催する。『科学機器入門』はカラーイラストを用いて、基礎知識を深く理解できる」
―海外の団体との連携を30年以上にわたり継続されています。
「2年に一度の頻度で、JASIS会期中に台湾、韓国、タイの科学機器団体を招待し『アジア科学機器業界の団体会議(ASIC)』を開催している。海外市場拡大と新しい成長市場創出に向け、会員企業のビジネスチャンス拡大に期待している。米国のピッツコン・欧州のアナリティカへ視察を行う中、JASISはアジアのハブとなる分析・科学機器の展示会と感じている」
―JSIAとしての課題や科学機器の市況変化について教えて下さい。
「2022年と比べて23年の会員企業800社の景況感は明るく、業績の回復を感じている。カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けた動きは、JSIAでも取り組みを加速させている。セミナーや機関誌を通じて、CNに関する情報を発信している。JSIAの領域は幅広く、その中でも計測機器やセンサーなどが関連するだろう。そして、これからも省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの研究開発を支えていく」
JASIS WebExpo2023
JASIS WebExpoは、7月5日から開催されている。期間は11月30日まで。JASISのオンライン展は業界に先駆けて17年から開催され、常に新しい挑戦と進化を重ねて集客力を高めている。段階的に公開を予定しているコンテンツは講演を約60本用意。約40社・団体が、動画やパネルなどを通じて製品や技術を紹介している。
ブースページはリアル展でブースを訪問するかのように、バーチャルブースから横にスライド移動することで隣のブースを閲覧できる。
22年は約1万2000人が、延べ約6万9000のコンテンツを閲覧。新しいカタチの展示会として分析・科学機器の情報収集の場となっている。
展示会場やセミナー会場に入場するような「エントランス」画面から、さまざまなコンテンツにアクセスできる。「新技術説明会」「バーチャル展示会場」「JASISコンファレンス/トピックスセミナー会場」の入り口が用意されている。
科学・分析機器総覧2024
JSIAが発行する「科学・分析機器総覧2024」は会場特設コーナーで無料配布(数量限定)され、新入社員教育の資料としても活用されている。長年にわたり日本の研究開発、製品開発に貢献してきた。あらゆる分野の研究や製品開発などに使用される製品情報が網羅されている。近年はDVD版やウェブ版も発行している。18年には海外への普及を目的に、英語版掲載会社紹介サイト「SORAN」を開設した。
同総覧は14項目の機種分類に分けられ、同一機種は会社名の50音順に掲載されている。機種名は一般的な呼称で表示しており、企業の製品カタログの商品名と異なることがある。
14項目は(1)理化学機器(2)実験用器具・消耗品(3)実験室設備(4)ラボ用分析機器(5)自動化関連機器・情報処理システム(6)その他分析関連事業(7)環境分析・計測機器(8)作業環境用・保安用分析機器(9)ライフサイエンス関連機器(10)物理量・物性・工業量計測機器(11)試験機器(12)分野別専用器(13)プロセス用・現場用分析機器(14)医用検査機器・システム。