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女性活躍の取り組み
「日光声明」採択 G7会合
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G7男女共同参画・女性活躍担当相会合で「日光声明」を採択(6月25日) 建設現場でも女性目線での改善が進む(中村土建提供)
G7会合は6月24、25の両日に日光市で開催された。G7加盟各国の担当相が女性活躍の方向性を示す「日光声明」を採択した。
会合後の定例記者会見で福田富一知事は「男女が共に輝く栃木の実現へ、この成果を施策に反映していく」と表明。9月に県内企業などリーダーとの意見交換会、11月に記念シンポジウムを開催し、日光声明の内容や県の課題を共有する。
人口減少が進み、担い手不足の深刻化が懸念される中、女性活躍は産業界にとっても重要テーマの一つだ。特に、製造や建設など女性比率が低い業界では従来の職場環境を見直す必要がある。2022年度の県「男女生き活き企業表彰」中小企業部門では建設業の中村土建(宇都宮市、渡辺幸雄社長)と三信電工(同市、名村史絵社長)が優秀賞を受けた。
中村土建は全女性社員からなる「女子部」が建設現場のパトロールを行っている。女性目線で問題点を指摘し、改善につなげてきた。建設に携わる女性の情報発信にも取り組み、女性採用で継続的に成果を上げている。女子部担当者は「建設業界を盛り上げたいというのが前提にある」と話す。男性の育児休暇取得でも取り組みが進む。
三信電工は事務に携わる女性の働き方を変えるため、約5年前に組織を改編した。工事部門の各部署に事務担当の女性社員を一人ずつ配置していたが、事務の専門部署を立ち上げ、集約した。
名村社長は「いずれ建設工事に関わる各書類作成を担当できる部署にしたい」と展望を語る。専門部署を立ち上げたことで、産休・育休による一時的な減員への対応力も増した。働き方についても新人の「思いやり休暇」や定年後再雇用者の「フレックス休暇」といった社内制度を整備している。
女性会長就任 氏家ロータリークラブ
経済界でも新しい動きがある。国際ロータリー2550地区(栃木県)の氏家ロータリークラブ(同さくら市)では7月1日付で大古秀子氏(大古精機社長)が初の女性会長に就いた。大古氏は「1年の任期中に県内の女性会員が集まるサミットを開催したい」と意気込みを語る。詳細は未定だが「女性会員の結束を強めるとともに、『女性も頑張っていて元気なんだ』ということを男性に投げかけたい」という。
新しく女性活躍や働き方の改善を行うには、これまでの“思い込み”を捨てることが求められる。三信電工の名村社長は「取り組みにあたり社内の固定観念をくつがえすのが難しかった。ただ、昔のままの働き方、教育では若い世代から見放されてしまう。ワークライフバランスの考え方が広まり、追い風が吹いている。社内が納得感を持って進められた」との見方を示す。
大古氏は16年、氏家ロータリークラブに初の女性会員として入会した。「以前は女人禁制だったが、世代交代が進み、お誘いがあった」と意識の変化を実感している。会長として臨む例会では女性の立場からG7会合や男性の育児休業事例を紹介し、理解増進に努めている。
大古氏は「男性の育児休業についてはまだ認知度不足。世代間ギャップは大きいと思う」と指摘。「いろいろな問題が浮上しているが、すぐに変化はなくとも、着眼点を置かなければいつまで経っても改善しない」と強調する。