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粉粒体計量・計測技術
幅広く活用される各種粉粒体は、粒子サイズの微小化が進み、実用化の段階に入っている。こうした流れの中で重要な役割を担うのが粉粒体の計量・計測技術で、プロセスの安定化や品質向上につながる的確な粒子コントロールのベースとなるからだ。必要な粒子サイズや用途に応じて各種計量・計測機器や装置が用いられるとともに、高精度化などへの対応が日々続けられている。
粒子の微小化に対応
“扱いにくさ”解消で活躍 用途に応じ使い分け、高精度化追求
各種粉粒体の粒子サイズはナノスケール(ナノは10億分の1)の実用化が進み、これに伴って最終製品の高付加価値化を促している。ただその一方で、粒子の微小化は凝集や閉塞、架橋など扱いにくさを生む現象を引き起こす。こうした現象をいかに解消し、粒子をコントロールできるかが重要で、各種機器や装置、技術の活躍の場が広がっている。
粉粒体の計量・計測機器は多種多様だが、長年活用されているものとしては、貯層などで粉粒体のレベルを測定するレベル計や、装置に粉粒体を供給・排出する際に用いられる定量供給装置はプロセスの安定操作に欠かせない。
レベル計は事前に決められた上下限で粉粒体の有無を検出したり、任意の位置にある粉粒体層上面までの距離を計測したりする。さまざまな方式があるが、特に超音波式やマイクロ波式は、非接触計測が可能なため、粉粒体の品質に影響を及ぼさないことから活用が進む。
定量供給装置は一定容量の粉粒体を供給・排出する装置で、テーブルフィーダーやスクリューフィーダー、振動フィーダーなどが代表的。また連続計量に対応するロス・イン・ウエート式は減量積算値方式とも呼ばれ、ホッパーから排出された粉粒体の重量を基に流量を算出する。微少量の切り出しに威力を発揮する。
粉粒体そのものだけではなく、粉粒体が持つ挙動や物性など計測装置も多彩。粒子径分布や形状、粒子物性、粒子流量などを計測するもので、レーザー回折・散乱法や沈降法、電気的検知帯法などの方式がある。また粉体の基礎プロセスの分級・ふるい分け操作も、粒子径や密度などをベースに分離するため、粒子コントロールには欠かせない操作と位置づけられている。
こうした各種機器・装置に加え、このところ利活用が進むのがシミュレーション技術だ。導入当初は限定的な使用にとどまっていたが、その後のコンピューターやソフトウエアの急速な進展を受け、解析結果の精度が向上、有効な手段と認知されるようになったことで利活用の促進につながった。今では本来の目的である粒子挙動や物性の解析だけではなく、装置設計にまで活用領域が拡大している。この傾向は続くと思われ、今後の展開が注目される。
粒子サイズの微小化への取り組みは今も続く。そのため、いかに粒子を的確に扱えるかがその後を左右するだけに、粉粒体計量・計測技術の重要性はさらに高まるとともに、一層の技術・研究開発の進展が期されるところだ。
POWTEX2023/10月11―13日、インテックス大阪で開催 オンライン展も
日本粉体工業技術協会(京都市下京区、牧野尚夫代表理事会長)は10月11―13日の3日間、大阪市住之江区のインテックス大阪で「POWTEX2023(国際粉体工業展大阪2023)」を開く。リアル展にオンライン展(会期=9月27日―11月10日)を併設したハイブリッド形式での開催となる。
「未来をつくるPX(Powder―Technology Transformation)」をテーマに掲げ、開催規模は172社・団体、515小間が予定される。最新の粉体機器・装置の展示のほか、各種産業での革新的製品製造法の開発や生産プロセス高度化など、粉体技術による製造プロセスの変革をサポートする技術などが披露される。
未来技術や粉体シミュレーション技術に関わる特別展示や豊富な併催行事に加え、今回から会場内に設けられる「PXステーション」でもさまざまなイベントが展開される。
入場登録料は1000円だが、招待状持参者、ウェブによる事前登録者、高校生以上の学生は無料。問い合わせは展示会事務局(シー・エヌ・ティ、03・5297・8855)へ。