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社会課題の解決への有用 実感
大会開催を終えて/品質工学会 会長 椿 広計
第31回品質工学研究発表大会が「品質工学で持続可能な発展を!―最小の損失で最大の価値創造を目指す―」をテーマに、6月29―30日にタワーホール船堀で開催されました。協力賜った方々や団体に感謝申し上げます。
今大会は現地とオンラインでの、初のハイブリッド開催でした。会場では品質工学が社会課題の効率的解決に有用と実感させる、産官学の事例が展開されました。現地に集われた100人弱の方は久しぶりに熱く、学会らしい批判的討論を堪能できたと信じます。もちろん、ウェブ参加の方々も距離を超えて熱心に質疑に加わられました。
特別講演では宇宙航空研究開発機構(JAXA)の角有司氏が「JAXAにおける持続可能な宇宙開発の取組み」と題した講演を披露されました。この講演を通じ、角氏が宇宙開発に限らずあらゆる分野において品質工学を用いた技術開発をけん引されてきたことを学びました。今後の産業界や品質工学の発展の方向性を示唆いただいた角氏には、学会を代表して感謝申し上げたいと存じます。
来年も多くの方が本大会に参加され、品質工学の重要性を実感いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
創意工夫のある発表/熱気の議論
6月29、30の両日に東京都江戸川区のタワーホール船堀とオンラインのハイブリッドで開かれた第31回品質工学研究発表大会では、各分野から工夫にあふれた発表が集結し、会場では熱気あふれる議論が繰り広げられた。
今大会のテーマは「品質工学で持続可能な発展を!」。事例発表はメーンテーマの通り、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を見据えたさまざまな分野から幅広く発表があった。またサブテーマとして「最小の損失で最大の価値創造を目指す」を掲げ、デジタル技術を活用した事例が数多く発表された。
大会当日に発表賞として受賞したのは、次の通り。
公益財団法人 精密測定技術振興財団 品質工学賞発表賞
●金賞
「MTシステムによる触媒劣化診断」
熊谷賢一氏(ヤマハ発動機)
●銀賞
「転写性評価によるガラス製非球面レンズの生産技術情報の効率的取得と活用」
上田安紘氏、羽尻好孝氏、宮野隆弘氏、野田真哉氏、定兼裕矢氏(五鈴精工硝子)
●銀賞
「MT法による広島市における手足口病の流行開始予測」
山岡誠司氏、臼田美由紀氏、小中ゆかり氏(広島市衛生研究所)
●銀賞
「金型設計初期段階における金型加工時間予測手法開発」
上村健祐氏、川口元志氏、白川真也氏、秋月匠氏、上村勝利氏、江草秀幸氏(マツダ)
●銀賞
「技術開発の効率化に向けたシステムの故障予測分析手法の検討」
落合誠氏、野口あゆみ氏、野上直樹氏(富士フイルムビジネスイノベーション)
品質工学研究発表大会 実行委員長賞
「深層学習とGPUを用いた高速なロバスト設計の検討」
山戸田武史氏(IDAJ)
品質工学研究発表大会 品質工学会長賞
「持続可能な発展、SDGsへの品質工学活用のYKKグループの組織的取り組み」
・SDGsを俯瞰した含有害物質規制に対応する品質保証の為の材料分析精度向上検証
・地球環境変動に対応した商品開発の効率化によるSDGsへの取り組み
・持続可能な社会に向けた機能性評価導入によるスピンドルモータ評価方法の確立
・機械組立工程における不具合是正活動と科学的手法の導入による設備診断の実施
・持続可能な社会に向けて従来の開発を測定方法から見直した製造技術開発
・設備総合診断研究結果を元としたSDGsに寄与する調整工数の最小損失化
山本司氏、畠山鎮氏、山下智之氏、友納直記氏、福島達也氏、山岸聖弥氏、中村高士氏、松島英征氏、北島幸季氏(YKK)、松田祐樹氏、大野麻波氏、鈴木彩心氏、山下雅也氏(YKK AP)
第16回 品質工学技術戦略研究発表大会
品質工学会は11月24日、オンラインで「第16回品質工学技術戦略研究発表大会」を開催する。
研究発表大会と連携させ、ITの結合による品質工学の有効性を議論する。デジタル変革(DX)やSDGsなどに品質工学がどのように関わっていくか、そのアプローチ方法を多角的に議論する場として、新たな企業や会員の参加を募る。定員200人。参加費は品質工学会員は1万円。一般2万円。詳細は品質工学会ホームページ(www.rqes.or.jp/)へ。