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SMT、効率生産
プリント配線板に実装する電子部品は表面実装部品(サーフェス・マウント・デバイス、SMD)やチップ部品と呼ばれ、コネクターやコンデンサー、抵抗器、インダクター、集積回路(LSI)などがある。
こうした微細な電子部品をプリント配線板に搭載するための生産ラインには、高密度で高速に表面実装するSMTが欠かせない。生産ラインはハンダ印刷機、検査機、計測器、マウンター、リフロー炉(リフローハンダ付け装置)、酸化防止剤(フラックス)洗浄装置、それらをつなぐ搬送装置などで構成される。
FUJIのスマートファクトリーは国内外の装置メーカーが協力し、生産プロセスを最適化する。ライン内の装置同士が連携したSMT工程では、品質を維持するために必要なアクションを装置が自動で実行し、全生産ラインの可視化が可能となる。部品補給など人が行う作業はシステムと自動化ユニットを使用し、正確に作業できる。
高密度に実装するマウンターは速度や安定性に加え、実装時の不良率や装置停止の低減、全自動化を目指して生産効率向上を支えている。
日本ロボット工業会による2023年4―6月の電子品実装の国内出荷は電年同期比33・0%増の2億3400万円となった。
こうした中、FUJIは新製品のマウンター「AIMEXR(エイメックスアール)」を1日に発売した。大量生産型の「NXTR」と共通の最新ヘッドを搭載できるなど実装を高速化。変種変量生産から大量生産まで安定動作し、多品種の効率的生産を実現する。
また実装密度の向上や電子部品の微細化、狭ピッチ化を背景とする信頼性の高い実装では、フラックス残渣(ざんさ)の洗浄が求められている。洗浄剤はVOC(揮発性有機化合物)削減に応えるなど、地球環境に配慮している。
低温ハンダで脱炭素
自動車はEV化に加えて安心・安全向上に向けて、電子部品の搭載数を拡大させている。電子部品だけでなくハンダ材も過酷な温度、泥や粉じんなどの耐環境性、耐振動性に応えなければならない。
温度変化が激しい環境でもハンダ内のボイドで熱や衝撃によるクラックを生じないように課題を克服し、高い品質と信頼性を支えている。
また超微細化した電子部品をハンダ付けするには、ハンダ材料や実装機の技術革新が求められる。また電子部品の微細化により、プリント配線板の配線も細かくなる。
ハンダ材料は微粉末ほど表面積と酸化量が増える。そのため、活性化が高く、リフロー炉での酸化を抑制する酸化防止剤(フラックス)が重要になる。超微細化した電子部品をハンダ付けするにはこうした課題にもハンダ材料メーカーは対応している。
モバイル機器などの薄い基板では熱による基板反りを防ぐため、主にSn―Bi(スズ・ビスマス合金)組成の低温鉛フリーハンダが用いられるが、衝撃に弱い課題がある。組成改良により無銀で200度C以下での低温実装ができ、耐衝撃性に優れる。低温でハンダ付けできるため、電気使用量を抑え、エネルギーと二酸化炭素(CO2)排出を抑制できる。
ハンダ「マンガで解説」
ハンダの仕組みや役割、特徴をマンガで分かりやすく解説しているのは、日本スペリア社の「鉛フリーはんだの世界―SN100CVの秘密」だ。
主人公の少年がハンダの世界で出会った西村博士から鉛フリーハンダの特徴を解説してもらう。
ハンダに興味を持った少年は、鉛フリーハンダのコスト差に疑問を持つ。西村博士は無銀系と有銀系のそれぞれの特徴を少年に教える。無銀系は熱負荷による影響を受けず、強度低下が少ないことや、またビスマス合金を添付することでスズの結晶のズレを防ぎ、寒暖差に耐える強さを保持するなど特徴を面白く学べる。
また「はんだ戦隊SN100CVレンジャー」は、常温保存ができリーダー的存在の「P506」やボイドを抑制し肌荒れを嫌う「P608」など5人の戦士(製品)の活躍を紹介している。うち1人は開発中だ。
鉛フリーハンダにはさまざまな組成がある。同社は組成に含まれるビスマスなど個々の成分の働きを、分かりやすく伝える手段としてマンガを制作した。
2017年に発行し、現在はパート2までそろえる。展示会で無料配布するほか、オンラインでの閲覧も可能だ。
同社によると、同作品のほかにも低温ハンダなど新しい合金を紹介するマンガ制作も検討したいとしている。