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事故防止・安全作業を発信
JIVAは2021年から厚生労働省の後援を得て、7月第1週(1―7日)を「フォークリフト安全週間」と定めている。その中のメーンイベントとして「フォークリフト安全の日」では講演会を行い、フォークリフトの安全技術の取り組みなどを紹介している。3回目となる同イベントは7月5日13時半から東京都港区の女性就業支援センターで開催される。会場ロビーでは12時半から、関係企業・団体によるフォークリフトの安全使用に関する製品やサービスなどの情報が発信される。
安全性能の向上―激突回避支援ブレーキ/作業者検知性
フォークリフト作業は重量物を持ち上げる荷役能力、自由に移動できる機動性を持ち、車体と貨物を合わせた重量物が工場内などの人の近くで移動することになる。そのため一瞬の不注意や誤った使い方が大きな事故につながりかねない。
22年のフォークリフトに関係する死傷事故発生件数は、2092件となり、前年より64件増加している。発生件数の約36%は「はさまれ・巻き込まれ」。マストと車両間で誤った荷役操作やパーキングのかけ忘れによる車両への接近などが原因だ。オペレーターが正しい操作位置にいない場合に誤操作事故を未然に防止するインターロック技術の導入が進んでいる。
約28%を占める「激突され」では歩行者の接近見落とし、後進時の歩行者見落としに起因する。対応技術として回転灯など周辺作業者への車両接近を報知するほか、激突回避支援ブレーキなどフォークリフトの周辺作業者検知性能への期待が高まっている。
こうした事故原因は運転操作ミスや安全確認不足とともに、人の昇降やけん引など、禁止事項である「用途外使用」でも発生する。オペレーターや周囲の作業者には、安全意識のさらなる向上が求められている。そこで、フォークリフトが動くエリアをできる限り分離(車歩分離)して作業する・させること、フォークリフトが走行する道順や注意ポイントを記した通行マップを作製してルール通りに作業をする・させることが重要となる。
車両メーカーとしても安全機能の強化、安全支援機器・システムの提供や、講習会開催などを通じてユーザーの安全向上を支援している。新たな事故防止・低減の取り組みとして、車体の動作に応じた検知機能範囲の最適化がある。検知する範囲をフォークリフトの進行方向や車速・操舵(そうだ)に連動して変化させ、リフトの動線や作業エリアを特定、人の接近を通知する。
また不特定の人が出入りする現場で人と物を区別して検知し、作業性に配慮して人の接近のみを通知。さらに作業環境に合わせ、通知エリアの範囲を調整できる。
このほか、人との距離に応じて車速制御や発進制限により作業者と運転者の支援を行う。
電動化―進む環境対応 バッテリー式66%
フォークリフトは事故防止に向けた技術革新に加え、動力にリチウム電池(LiB)を採用するなど環境対応への動きが加速している。
フォークリフトの動力は用途に合わせてエンジン式・バッテリー式のモデルが提供され、バッテリー式は鉛蓄電池だけでなく、長時間稼働や高負荷連続作業を実現したLiB搭載フォークリフトが市場に投入されている。
JIVAによると22年のフォークリフト国内販売に占めるバッテリー式の割合は66%の5万4412台となった。バッテリー式の比率は01年45%、11年56%を占めており、バッテリー式シフト、電動化への傾向が強まっている。バッテリー式は排ガスが出ず、音も静かで建屋内作業が多い現場で好まれる。