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淀川3区/トップが語るアフターコロナでの活性化
新大阪や十三といった商業地が広がる淀川区、海側を中心にモノづくり企業が集積する西淀川区、住宅地が広がり大学など文教施設も立地する東淀川区。大阪都心の北側、淀川北岸に広がる淀川3区も、さまざまな”顔”を併せ持つ。グローバル経済がウクライナ戦争や米中対立などで混乱しながらも、アフターコロナという新たな成長段階に足を踏み入れつつある。そんな中で大阪の中小企業はどのような活路を描いていくのか、3区の工業団体のトップに語ってもらった。
東淀川工業協会 会長 音頭 克郎氏
新型コロナウイルス感染症が5類となり、ようやく東淀川工業協会として、いろいろな活動が行えるようになってきた。そのため2023年度については、まずコロナ禍以前の活動を再開していく。加えて2年後に迫ってきた2025年大阪・関西万博に向け、会員企業にとってどのようなビジネスチャンスになるのかも検討していきたい。
現在、中小企業を取り巻く環境は厳しいものがある。資材やエネルギーの価格が高騰し、人手不足も深刻だ。加えて人件費の高騰も急速に進んでいる。そのような課題を乗り越えていくためには、それ以上に企業が成長していかなければならない。会員企業それぞれの成長につながる研修や講演会なども実施していきたい。
また、中小企業が人材を集めようとすれば、健康経営などで働く人にとって安心して長く勤められる企業となり、仕事が社会貢献につながるようでないといけない。SDGsやカーボンニュートラルに対応していくことも大切だ。
今年は淀川区や西淀川区との共同企画も計画している。淀川3区の工業会による共同企画は今回が初めて。これを機会に交流を深め、今後はビジネスマッチングなどにも活動を広げて行けたらと考えている。
そして万博にはやはり期待している。開催が近づくにつれてインバウンドによる消費活動が活発化し、景気を上向かせるだろう。さらに万博後のIR(統合型リゾート)誘致が決定したことも大きい。前回の1970年の万博で実現した経済成長を再現してもらいたい。
淀川工業会 会長 三宅 康雄氏
本年度は新型コロナウイルスによる制限がなくなったことが大きい。5月に開催した定時総会も対面で何の制限もなく実施することができた。昨年度も対面だったとはいえ、どうしても時間などに制限を設けざるを得なかった。やはり昔のように活動できるとまったく違う。
淀川工業会としての活動も活発化し、生きた情報交換をどんどん行っていきたい。その一つが淀川3区の工業会・工業協会での共同企画だ。それぞれの青年会ではこれまでも交流してきたので、親会でも一緒に何かやろうと声を掛けた。
工業会の活動そのものは、いわば異業種交流会のようなもの。経営者同士の交流でいろいろなヒントを得ることができる。ただいつも同じ顔で集まっているだけではつまらないだろう。やはり数は力で、より多くの人数が集まれば面白いことができるかもしれない。工業会の会員にも新しい価値を提供できる機会になり得る。
また、昨年末には東淀川工業高校による工場見学会を行った。7社の会員企業が受け入れてくれ、2日にわたって実施。生徒だけでなく先生も熱心に見学してくれた。本年度も開催する計画で、地域貢献にもつながるだけに、今後も継続していきたい。
コロナ禍が緩和した段階で、米国や欧州、中国、タイ、韓国など訪問した。海外に足を伸ばすと、日本が立ち止まっている間に世界は大きく動き出していると痛感する。良いことは過去を踏襲すればいいが、それだけでは足りない。工業会としても、新しいと注目されるような活動にも挑戦していきたい。
西淀川工業協会 会長 本田 敬三氏
西淀川区は製造業が多く、ロシアのウクライナ侵攻により材料や光熱費が高騰しており非常に厳しい。加えて人件費も上げていかなければならないし、土地の評価額も年々上がっている。経営者の想像を超える水準でコストが上昇しており、影響は長引きそうだ。より付加価値の高いモノを製造していかなければ、利益が出なくなってしまう。
それだけ中小企業にとっては成長産業に参画することが重要になる。例えば、資源のない日本に欠かせない、水素やアンモニアといった次世代エネルギー産業にどうかかわっていくのか。またSDGs関連の事業はどうだろうか。これらの産業に参画することで製品に付加価値を付けることができれば、顧客から単価を上げてもらうえるだろうし、それを社員に還元していくことにもつながる。
また西淀川区や、その近隣地域の中で、少しでもお金を回せるよう考えていきたい。材料や加工の発注から備品の購入、運送業者まで、できるだけ近場で回していけばコストも抑えられる。さらに西淀川区内の企業だけで協力して何か一つのモノを作り出せるようにならないか。それが身近で象徴的なモノであれば、西淀川区のモノづくりのブランドを高めることに貢献する。
西淀川区では区長が中心となって、地域の子どもたちにものづくりの楽しさやすばらしさを体感してもらう「ものづくりまつり」や工場見学会を実施している。ひょっとすると、お父さんが働いている会社を見学することもあるかもしれない。そのような地域貢献にも、もっと協力していこうと思う。
