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節目を超えて輝く浦安
千葉県が誕生150周年を迎える2023年、千葉県浦安市でも周年が相次いだ。鉄鋼の流通・加工に特化した工場団地「浦安鉄鋼団地」の進出企業などで構成する浦安鉄鋼団地協同組合が設立60周年を迎え、東京ディズニーリゾートも開業40周年を数えた。浦安市自体も、新型コロナウイルス禍で延期していた市制施行40周年の記念式典を4月29日に開催。同市にとって、節目が重なるメモリアルイヤーとなった。
浦安鉄鋼団地協同組合 創立60周年
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鉄の加工・流通系企業が集積する浦安鉄鋼団地全景
東京のすぐ隣の千葉県浦安市。55年前に海を埋め立てて面積が4倍になったこの町に、鉄鋼の流通・加工に特化した団地として国内最大の「浦安鉄鋼団地」がある。同団地は日本製鉄東日本製鉄所(千葉県君津市)や、JFEスチール東日本製鉄所(千葉市中央区)などで作られた鉄鋼を、必要な大きさと形に加工し、関東の金属加工業に届けている。巨大な製鉄所とモノづくりの現場をつなげるハブとして、重要な役目を担う。
同団地に立地する約220事業所が所属する浦安鉄鋼団地協同組合は、6月24日付で創立60周年を迎える。国内でも珍しい、鉄の流通・加工に特化した同団地はいかにして誕生したか。その歴史を振り返ってみよう。
明治時代、日本の鉄鋼の問屋業は、東京・神田に多く立地していた。当時は日本に製鉄所がなく、鉄は横浜から輸入され、神田周辺で加工されていた。JR神田駅周辺にある「神田鍛冶町」という町名にも、その名残が見られる。
1901年に官営八幡製鉄所が開業し、鉄の国内生産が始まると、その流通量は増加していく。金属加工業の集積地も神田から八丁堀、本所と移り代わりつつ、規模を拡大していった。
第2次世界大戦が終結した後も、朝鮮戦争に伴う特需や東京オリンピックの開催準備があり、鉄の需要は増え続けた。ただ戦後復興で東京の過密が始まり、自動車の交通量も増えると、都内を走る大型トラックの存在が白眼視されるようになる。鉄を運ぶトラックも例外ではなかった。
浦安鉄鋼団地協同組合の前身である東鉄連は、時代の変化に対応し、自らの持続可能性を追求するため、都外で同業者が集まる「鉄鋼団地」の建設を構想する。いくつかの候補地が挙がるなか、大型トラックが通れる広い道路などを条件に選定を重ねた結果、現在の千葉県浦安市が建設地に決定する。1963年6月24日には東鉄連浦安鉄鋼団地組合(現浦安鉄鋼団地協同組合)が結成された。まだ団地が影も形もない、浦安沖の埋め立て前のことだった。
あれから60年。浦安鉄鋼団地は華々しく発展した。107ヘクタールの敷地の中に、221社、270の事業所があり、4430人が働いている。鋼材の入荷量は年間444万トン、出荷量は445万トンで国内最大だ。2023年10月15日には、浦安鉄鋼団地による地域の共生イベント「ゆ~ゆ~カーニバル」も5年ぶりにリアルで開催される。
新型コロナ禍が終わりを迎える今。浦安鉄鋼団地は60年前と変わらず、「鉄の市場」として日本のモノづくりを支え続けている。
東京ディズニーリゾート開業40周年
2023年4月15日、東京ディズニーリゾートは開業40周年を迎えた。1983年4月15日に東京ディズニーランドがオープン。その後も、ホテルや商業施設など関連施設が次々と開業し、2001年東京ディズニーシーが誕生。ウォルト・ディズニーの「永遠に完成しない場所」という言葉通り、同リゾートは40周年を通過点と捉え、さらなる成長を目指している。
4月から40周年イベント「ドリームゴーラウンド」が始まった。ディズニーキャラクターが歌い踊るパレード「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー=写真」では、コロナ禍で中止していた人間のダンサーによるパフォーマンスが復活。パーク内外には40周年を記念する装飾が施され、記念グッズ、記念メニューの販売も好調だ。
新型コロナ禍による来場者数の制限により、同リゾートを運営するオリエンタルランドの21年3月期決算は売上高がコロナ前ピークの3分の1、各利益項目は赤字に転落した。その後、コロナ禍からの回復により来場者が増加。2023年3月期決算は大幅増収増益だった。
過去の節目を振り返ると、開園30周年である13年は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」のスタートによる海外観光客の増加が周年イベントと組み合わさり、14年3月期の売上高は前期比約2割増、経常利益が約4割増と高成長を実現した。
24年3月期の40周年イベントのほか、24年春には東京ディズニーシーで新エリア「ファンタジースプリングス」が開業するなど、新たな成長エンジンが動き出す。10年前を上回る成長が期待される。