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成長する ちば企業 伴走支援 ―2―
千葉県プロフェッショナル人材戦略拠点 活用事例
「千葉県プロフェッショナル人材戦略拠点」は、プロフェッショナル人材の活用を支援している。企業のニーズとプロ人材のマッチングを支援し、2023年3月末までに累計で副業・兼業で106件、正社員で397件が成約した。特に人材不足が課題の中小企業は即戦力を採用することは事業の発展につながる。なのはな警備(流山市)は、副業・兼業で1人を採用し、仮想現実(VR)を活用した警備員の教育システムを開発するとともに、外販に取り組んでいる。田中一善社長にプロ人材を採用した狙いと、今後の事業展開について聞いた。
VR警備員教育システム開発
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なのはな警備 社長 田中 一善 氏
―プロ人材を採用した背景は。
「コロナ禍で売上高の10―15%を占めていたイベント警備が全くなくなった。さらに主力の交通誘導警備に同業他社などが相次いで参入し、売上高が減少したことから、新しい事業を始める必要があった。また警備業界の課題は警備員の質的向上と教育の均一化だ。人手不足の解消にはデジタル変革(DX)を進めなければいけない」
―大手通信会社の社員を採用しました。
「我々はDXに関する知識がなかったため、21年3月にITアドバイザーとして採用した。VR警備員教育システムを開発する業者の選定に始まり、全面的に力になってもらった」
―22年8月に完成しました。
「社内に導入して改良した上で、22年11月に発売した。23年4月からは使い勝手を向上した簡易版も投入した。これはVRによる安全な実技研修とオンラインによる来社不要の視聴覚教材研修、小テストと自習用教材で交通2級検定対策が可能で、サブスクリプション(定額制)契約で提供している」
―販売が堅調です。
「すでに16社が導入しており、交通誘導に取り組む警備会社は日本に7500社あるが、この内、3年以内に350―400社への導入を目指す。我々はVRで業界のDX化に貢献したい。またVRは若手に興味を持ってもらえると考えており、人手不足の緩和につながることを期待している」
―プロ人材はDX以外でも活躍しています。
「システムの販促に必要な企画書を作成するのに我々は2、3日かかるが、プロ人材に任せると数時間で作成してもらえる。大手通信会社で数多くの企画書を作成して提案している人材は違う。警備会社のトップは現場上がりが多く、柔軟な発想ができない。また新しい事業を立ち上げるには自分一人では限界がある。外部の頭脳の力を借りることが必要だ」
副業・兼業人材の活用提案に注力
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千葉県プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャー 安田 安利 氏
都市部の正社員求人がコロナ禍を上回る活況を呈し、地域企業の求人状況はますます厳しくなっている。千葉県プロフェッショナル人材戦略拠点では、以前からローコストで経営課題解決に取り組むことができる副業・兼業人材の活用提案に注力。22年度副業・兼業人材の成約件数は23件、拠点開設以来累計で106件に達した。
DXを活用した電子商取引(EC)サイトなどの販路開拓や業務効率化、新規事業・新商品開発の分野は、特に副業・兼業との親和性が高い。採用戦略に関するアドバイスや、社員定着率向上のための人事・評価制度の見直しに関する人材募集も多い。
23年度も企業向けセミナーなどで県内企業への周知に努め、経営課題の解決につなげていきたい。