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大手との協業で力つける
業務用冷凍空調設備のマザー工場 三菱電機冷熱システム製作所
設立80周年
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三菱電機冷熱システム製作所のショールームでは、基幹部品である圧縮機のカットモデルを展示している
和歌山市の三菱電機冷熱システム製作所が1日、設立80周年を迎えた。業務用冷凍空調設備のマザー工場。終戦まもなくの設立初期は家庭用ミシンを生産していたが、1956年に開放型冷凍機の生産を始めて以降、冷凍空調機器が主要品目となった。約8万平方メートルの敷地では、およそ3000人弱が働く。
ビル用マルチエアコン「グランマルチ」をはじめとする業務用空調システムや冷凍機、基幹部品である圧縮機などを開発、製造している。
圧縮機の組み立ては自動化ラインを構築。多品種小ロットの室外ユニットなどは、台車生産方式を採用して生産性を高め、短納期化につなげている。
生産性の改善を図るジャスト・イン・タイム(JIT)活動は20年の歴史。場内だけでなく協力会社17社も参加してサプライチェーン(供給網)の強化に取り組むとともに、改善指導などを通じて、参加各社の経営体質強化を図っている。
地域との関わりでは「顔が見える社会貢献活動」を心がけ、里山保全やマッチングギフト方式による募金など長年、社員が主体の取り組みを続けてきた。
インタビュー/所長 志田 安規氏「負荷変動への対応課題」
4月1日付で就任した志田安規所長に、現況と方針を聞いた。
―製作所の特徴は。
「年間1万を超える機種(の空調機器や基幹部品)を生産している。22年に旧京都製作所から電子基板事業を移管し、マレーシア工場を傘下に収めた。グローバル生産を推進する役割も担っている」
―空調機器の世界市場は拡大しています。
「ヒートポンプは脱炭素のカギとなる技術だ。社会課題を解決するため、サービス、ソリューション強化などで提案力を磨き、海外に展開していきたい」
―生産面の課題は。
「(工場の敷地が)手狭になっており、いかに生産効率を上げられるかが課題だ。季節性の繁閑差もあり、負荷変動への対応は、協力工場を含めて取り組みを進めていく」
―住宅・ビル用エアコン製造の静岡製作所での勤務が長いです。
「課題が高度化、複雑化しており、各製作所が単独で進める時代ではなくなった。静岡をはじめ他地域の工場と連携していきたい」
和歌山県の設備・技術導入支援―事業再構築補助金が人気
和歌山県が独自事業として進める企業支援策「和歌山県事業再構築チャレンジ補助金」が人気を集めている。県内の中小・中堅企業が計画する新分野への参入や業種・業態転換といった事業再構築の取り組みに、設備や技術の導入費用を補助する。当初12億円の予算枠での補助金交付を予定したが「想定を上回る応募がある」(県商工観光労働総務課)ため、県議会6月定例会で予算枠を積み増す補正予算案を審議中だ。
補助率は中小企業が3分の2以内、中堅企業が2分の1以内で、額は100万―1000万円。売上減少の要件は設けていない。
コロナ禍の給付から投資へと舵を切る政策に、県の三龍正人商工観光労働部長は「特定の企業を助けるではなく、県民の雇用を守るため、一生懸命頑張るところを伸ばしたい」との狙いを明かす。
申請は3期に分けて受け付けており、すでに第2期が終了。第1期は173者が申請して82者が採択された。事業終了を11月に設定しているため、予算枠を拡大しても期間は延長しない。最終の第3期は7月3日から8月17日まで受け付ける。