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物流の「2024年問題」に対応
早急な対応が迫られる社会課題の一つに、重要な社会インフラである物流の「2024年問題」がある。24年4月施行の働き方改革関連法でトラック運転手の残業時間が規制され、運転手不足と物流量の減少が懸念されている。運転手が荷役作業まで行う現場も多く、実態把握と迅速な改善が求められる。
こうした問題の解決に向け、フォークリフト大手の三菱ロジスネクストや島津製作所といった京都企業と、NTTデータの3社がIoT(モノのインターネット)を用いた荷役作業を可視化する実証実験を進めている。
トラックやフォークリフト、運転手に装着したセンサーなどからデータを収集して分析。運転手の負荷や貨物積載の状況を見える化し、運転手の自主申告に依存している荷役作業を可視化する。実態を踏まえ、物流業者と荷主が共同で作業環境改善やルート変更による負荷を軽減したり、過積載防止といった効果を見込む。三菱ロジの間野裕一社長は「(運転手が担う荷役作業を)どう自動化していくか、さまざまな技術を用いて研究を進めている」と話す。この取り組みについても早期実用化を目指す。
一方、倉庫・運送業を手がける中央倉庫でも新たな試みが始まった。6月竣工の新倉庫に隣接する大津営業所(大津市)内で、宿泊設備を試験設置した。残業規制を念頭に、同倉庫を使う他社の運転手の利用を想定している。また、トレーラーをけん引するトラクターヘッドの交換スペースも確保。同倉庫を”輸送の中継地点”とし、現状1人の運転手が輸送していた行程を複数人で分担可能にした。木村正和中央倉庫社長は「有効活用できることが分かれば、他の拠点でも進化させた形で展開する」と先を見据える。
インタビュー/イシダ社長 石田 隆英氏
―計量・包装関連機器の足元の状況は。
「2023年3月期は連結・単体とも、売上高が前期比で5%程度増加した。製品別ではスーパーなど向けの電子棚札(ESL)や、段ボールに自動で箱詰めするオートケーサーの販売が大きく伸びた。地域別では米国が好調。中国は横ばいで推移した。不透明感はあるものの食品業界は底堅い需要があるので、24年3月期は連結売上高で初の1500億円超えを計画している」
―欧州の動向は。
「EU離脱(ブレグジット)後の英国では関税以外の影響が想定以上に出ている。3年ぶりに訪れたが、検査や手続きに時間がかかり長納期化していたので、対応策を検討している。また、ドイツでの包装関連展示会では紙対応の包装機械展示が目立った。6年前には見かけなかった環境対応製品が、着実に増えている。当社も素材メーカーと組んで紙や新素材に対応した製品の開発を進めている」
―日本での戦略は。
「25年の大阪・関西万博を見据え、大阪のドラッグストア向けにESLの提案を強化する。ESLは多言語対応が容易で、海外の人が立ち寄る店舗に訴求しやすい。近年は競合が増えているが、国内での高いシェアを強みに展開していきたい」
インタビュー/片岡製作所社長 吹田 昌志氏
―カーボンニュートラルに向け、車の電動化が加速しています。
「予想以上で特に欧米が早く、日本でも車載用電池増強の動きが増えている。日欧米がそれぞれ補助金含む誘致合戦で産業発展に取り組んでいて、これが国の本来のあるべき姿だと思う。当社の二次電池検査システムは需要旺盛で2023年度の売上高のめどがほぼ立ち、半導体産業向けなどのレーザー加工システムも好調だ。限りあるリソースを戦略的に振り向けて成長させていく」
―新本社を25年末にも、新工場は27年頃に稼働させる計画です。
「海外顧客への訪問を再び活発化し、現場が大事と再認識した。最新情報を持つトップと対面で話さないと思考や本当のニーズは見えない。会うとアドバイスも頂ける。新本社と新工場は順番に着工する計画だが、需要を鑑み、途中から同時進行で進める可能性も出てきた。人材強化も重要で目標をはっきり示し、コミュニケーションと適切なケアで育成していく」
―日本の電池産業発展に必要なことは。
「日本製は安全性などでたけているが、競争力の維持・向上に開発は不可欠。国の積極的な支援が必要で、電池メーカーに加え、材料や装置メーカーにとっても活用しやすい仕組みをお願いしたい」