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明日へ挑むー大阪NEXT STAGE
未来都市へ向け歩み加速
大阪が”未来都市”に向けた歩みを加速し始めた。2025年大阪・関西万博は4月、いよいよ起工式を実施。あと2年を切った開催に向け、パビリオンなど主要施設の建設工事が佳境を迎える。万博会場と同じ人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪府此花区)で計画するカジノを含む統合型リゾート施設(IR)も政府が正式に認定。大阪都心部の再開発「グラングリーン大阪(うめきた2期)」は、24年先行まちびらき、27年度の全体まちびらきに向けて、工事が着々と進んでいる。
アフターコロナの日常が始まるとともに、大阪にインバウンド(訪日外国人)が戻ってきた。新型コロナウイルスの感染拡大による政府の水際対策が昨秋からようやく緩和され、4月末には終了。万博開催まで2年を切ったタイミングで、外国人の姿が大阪の繁華街でも目に見えて増加してきた。
内閣府の景気ウォッチャー調査でも関西の景況感(現状判断)はインバウンド需要に支えられて上向きに転じている。近畿地域の景気動向指数(DI)は23年に入ってから4カ月連続で、好況と不況の分岐点となる50を超え、さらに22年11月以降は全国平均を上回り続けている。
万博やIRが、大阪へさらにインバウンドを惹きつけるのは間違いない。特に万博は、大阪を社会課題の解決に向けた最先端都市に位置づける契機となる。空飛ぶクルマに代表される未来のモビリティー技術や、デジタル技術、グリーン技術などの社会実装に向けた生きた実験場、未来社会のショーケースとして世界に発信されることになる。
工事コストの高騰などを背景に不調だったパビリオンなどの建設工事の入札も、ここにきてようやく進展。5月には、メーン会場となる大催事場の工事が落札。工事の進展とともに、万博が示す未来都市が今後姿を見せ始める。
社会課題解決へ世界けん引
そんな未来都市は街中にも現れつつある。グラングリーン大阪では3月にJR西日本の新駅「大阪駅(うめきたエリア)」が先行して開業した。同社では新駅を「イノベーションの実験場」と位置づけており、アプリと駅構内のサイネージを連携して経路案内する「One to Oneデジタル案内」や、顔認証ゲート、ホームドアを使ったサイネージなどを導入。地上部分には新駅ビル「イノゲート大阪」を建設中で24年秋に開業する。イノゲートの名の通り、「イノベイト(革新する)」への「ゲート(入り口)」となることが期待される。
大阪ではほかにも都心での再開発事業が進む。淀屋橋を渡ってすぐ南側、ビジネス街の中心地・御堂筋を挟んだ東西で、”ランドマークビル”の建設がスタート。東地区が約150メートル、西側が約135メートルの高層ビルで、ともに25年に完成する。また梅田地区では阪急阪神ホールディングスが阪急梅田駅エリアを中心に既存ビルの建て替えや全面改修を進める「芝田1丁目計画」を推進する。
インバウンドを一過性のものに終わらせないためにも、万博、そしてIR開業だけでなく、大阪の街そのものが、社会課題解決の先進都市として世界をリードしていけるのかが今後問われていく。