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荷役・運搬作業の要
チェーンブロックやホイストを活用することで、危険を伴う重量物の吊(つ)り上げや据え付け、引き寄せといった作業が安全で楽に行えるようになる。チェーンブロックは滑車と歯車による増力機構で、滑車、テコの原理により小さい力で重い物を巻き上げ、巻き下げする。ホイストは鎖と歯車の代わりにワイヤとドラムでこれを行う。いずれの機器もクレーン機構やトロリーとの組み合わせによって水平移動が可能。
建築現場では鉄筋や鉄骨、壁材などの重量物の高所への引き上げのほか、三脚などを利用して、木の根や地面に埋没した基礎コンクリートの引き抜きなどに使われている。製造現場では機械や資材の搬入・搬出、トラックの荷物の積み下ろしなどでも威力を発揮する。
機器は大きさや定格荷重、手動、電動などで区別され、メーカー各社は用途に適したさまざまなタイプを用意している。最近の傾向としては、省力・省スペース化といったニーズに対応するため、小型・軽量化が進んでいる。アルミボディー構造の採用により小型・軽量化した製品は携帯性に優れ、手引き力も小さく、作業が円滑に進められる。スペースが狭い場所や高所でも設置しやすい。
巻き上げ機本体を特殊形状にして標準仕様よりも揚程(吊り上げ高さ)を高くしたものもあり、天井の低い建物などで採用されている。揚程が高くなればその分、できる作業や工程が増え、仕事の幅が広げられる。
安全面の機能充実も
また独自のインバーター制御によって荷揺れを最小限に抑え、動きをスムーズにする機能や、高速・低速の自動切り替えにより無負荷時の運転速度をアップする機能もある。耐久性や安全性の向上では、チェーンの材質や熱処理の見直しによる高強度化などが図られており、破断応力の高い特殊合金鋼焼き入れの強力なチェーンを採用した製品がある。
安全対策はほかにもある。非常停止ボタンを装備したものや、上下フックに横ずれ防止の外れ止め金具があるものが一般的で、過度な負荷を検知して巻き上げ回路を遮断するオーバーロードリミッター(過負荷防止装置)や、過負荷・異常荷重発生時にモーターを空転させ、本体やロードチェーンの破損を防ぐフリクションクラッチを搭載した機種も増えている。
また錆びにくく、人体に影響を及ぼさない潤滑油を使用する機種などは食品工場などで採用されている。メーカー各社は作業効率だけでなく、安全面での機能充実も重要課題に掲げ、製品の開発に取り組んでいる。