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生産高 過去20年で最高更新
彦根地区のバルブ関連企業で構成される滋賀バルブ協同組合によると、2022年(1ー12月)のバルブ生産高は前年比5.3%増の286億6700万円と、ここ20年余りでは最高を更新した。急激な円安や原材料・エネルギーの高騰などで減産が危惧されたものの、各社の生産改善や価格改定などが寄与した。
種類別にみると、上下水道や工業用水、農業用水などの配管に用いられる水道用バルブは、前年比4.9%増の106億5100万円と、100億円台を維持。コロナ禍の影響は少なかったが、材料高による値上げの影響が大きく、生産台数は伸び悩んだ。
製鉄やガス、パルプ、食品、電力、石油プラントなどの配管に使われる産業用バルブは、水道用と並ぶ主力品。製造業や建設業の設備投資効果で、同12.3%増の118億5100万円と好調に推移した。
鋳物素材も同12.8%増の13億9400万円と堅調で、年間を通して安定した生産高となった。ただ、原材料高騰が懸念され、収益とのバランスには昨年同様注視が必要という。
一方、船用バルブは同9.8%減の47億7000万円と、2年連続で減少。19年から3年連続で維持していた50億円台を下回った。造船業界の建造減が要因と見られるが、今後は回復基調が見込まれる。
23年の見通しは、公共事業への投資継続や製造業・建設業のさらなる設備投資、造船業界の安定需要などに期待を寄せる。
人手不足解消と人材育成
各業界共通の課題である人手不足や人材育成は、バルブ業界にとっても例外ではない。そんな中、昭和バルブ製作所(滋賀県彦根市)は、バルブの管理業務を省人・省力化するサービスを新たに始めた。バルブに圧力や温度などのセンサーとプログラマブルコントローラー(PLC)を内蔵した自動制御ユニットなどを発売し、数社と商談を進めている。
人材育成面では、地元の彦根工業高校の3年生2人を4月末から受け入れる。同校が採択された、地域産業の担い手を育てる文部科学省の「マイスター・ハイスクール事業」の一環で、学生は11月末まで週1回程度の頻度、同社で活動する。学生がリアルな働く現場で学ぶ機会を提供・支援し、将来の採用人材候補の育成や地域活性化にもつながる試みとして期待される。
メッセージ/滋賀バルブ協同組合理事長 濵口 浩一氏
ものづくり産業の基盤向上
滋賀バルブ協同組合の2022年通期の生産実績高は、数字をやや落とした21年から一転し、5.3%増の286億円台に上昇しました。
調査対象企業が若干異なるものの、この値は2000年代以降では最も高い生産高となりました。あらためて、各種インフラを下支えする滋賀のバルブ産業の底堅さを示したものと思います。
新型コロナウイルス感染症の一定の収束を目前に控え、23年はさらなる飛躍の一年としたいところです。ただ、ウクライナ情勢をはじめ、激動する世界情勢により世界経済に不透明感が漂う中、各社の不安定かつ不確定な経営環境は、まだまだ予断を許さない状況が続いています。加えて、人材難など、中小企業特有の課題も山積しています。
当組合では、引き続き県内外の関係諸団体との連携を深めながら、会員各社の人材の育成と確保、生産性向上の取り組みを支援する活動を通して、滋賀のものづくり産業の基盤向上を目指してまいります。