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半導体装置向け好調
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近年、低床重荷重キャスターの需要が伸びている
キャスターは本体、車輪、車軸などから構成される。車輪が前後にしか動かない「固定式」と、前後左右に動かすことができる「旋回式」の2種類があり、さらに板状の面に取り付けるプレートタイプと、取り付け部がボルト状のねじ込みタイプなどがある。また、車輪数が一つの単輪、二つの車輪で構成された双輪がある。
対象物に取り付けることで、水平移動に必要な力の低減を図れる。取り付け方法や旋回方法、車輪の素材や数、車輪径などで、非常に多くのバリエーションがある。
現在、国内のキャスター市場規模はおよそ300億円ほど。1社当たり1000種から3000種、多いところでは6000種を超えるキャスターを扱う。自社カタログに載らない特殊オーダー品も含め膨大な種類を扱うため、部品・在庫管理はキャスターメーカー各社の悩みどころ。多品種小ロット生産に対応していくのも、各メーカーにおける課題である。
使用環境に合わせた車輪素材選びも重要だ。鋳物やナイロンなどの固い車輪素材は軽い力で動かせ、摩耗に強い一方で、ゴムなどの柔らかい車輪素材は床面を傷つける心配がなく、静音性が高い。レストランや食堂の厨房のように油や水分に強い素材、病院のように消毒薬剤を使用することを想定した車輪素材、切削加工などの製造現場に適した素材など、その環境に適した車輪が多様にある。また、車輪径は大きいほど小さな力で動かせるが取り付け高さが大きくなるため、設置する製品全体の高さに影響を与える。より低床をかなえつつ小さな力で動かせるよう、ベアリングを内蔵した製品も開発されている。このほか精密部品の搬送時に揺れを低減できるようにバネを内蔵したキャスターなど、使用環境や用途に合わせて製品開発されている。
その一方で、プリンター複合機や工作機械など、海外輸出品に取り付けられるキャスターには、欧州の特定有害物質規制(RoHS)指令の対象物質が規定値以下であることを示す「RoHS指令適合商品」認定を受けていることも重要だ。
世界的な半導体不足から、国内外における半導体生産の増強シフトで製造装置需要が高まっており、同装置に取り付けるキャスターの需要も大きく伸びている。特に生産効率の向上からシリコンウエハーは大きくなる傾向にあり、半導体製造ラインの再構築が進んでいる。製造装置に取り付けられるキャスターとして低床重荷重用キャスターの需要が伸びており、各社開発が進んでいる。
主要キャスターメーカーが加盟する日本運搬車両機器協会は、日本産業規格(JIS)への原案作成を進めている。共通の規格でキャスター製造を進められれば、各社で在庫を融通し合えるなど、国内調達の安定化を図れる。今後の取り組みに注目が集まっている。