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CASE進展-増える搭載
自動車・車載
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車載イーサーネット「100BASE-T1」に対応し、厳しい環境下でも伝送品質を確保した基板対ケーブルコネクター「MX74シリーズ」(日本航空電子工業提供)
コネクターは電気信号や光信号、電力を確実に伝える重要な電子部品の一つ。スマートフォンや基地局、パソコン、サーバーなどの情報通信機器、工場自動化(FA)機器、自動車、鉄道など多彩な産業・分野で利用されている。映像や画像などのデータ量は増加傾向にあり、信号品質の劣化やノイズを発生させることなく、高速で信号を伝送する必要がある。
自動車・車載関連でのカメラやセンサーは電子制御ユニット(ECU)を介し電気信号で伝送されるため、コネクターは欠かせないデバイスとなっている。ECUはCASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)をキーワードに搭載量が増加している。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及拡大なども増加要因とされる。そのためECUは小型・薄型化も求められている。車載カメラやセンサーの伝送信号は車両の安全性に関わるデータであり、高速で確実に伝送する。
カメラやセンサーを接続するコネクターには高信頼性と高品質が求められる。EVやPHVの普及拡大は車載蓄電池への高速充電に対応した大電流化、自動車の軽量化に向けた高電圧化などの要求も見られている。
伝送信号は通信量が大容量化し、コネクターにおいても高速伝送対応や搭載機器の増加に対応した省スペース化が求められる。
また幅広い温度と湿度の対応に加え、粉じんや振動の耐性と堅牢性、電磁環境適合性(EMC)など、厳しい環境対応が求められている。コネクターを基板に実装する時に多少のズレが発生しても嵌合(かんごう)し、車両の振動や衝撃をある程度吸収する。車載用のフローティングコネクターはこうした課題に応えている。
電気信号の時間的な変化を波形表示するオシロスコープを販売するテクトロニクスは、先進運転支援システム(ADAS)を実現する車載イーサーネット「100BASE-T1」やシリアル信号などの測定・解析に向けて、オシロ需要が生まれているという。こうした信号は微少電圧で大電流化の設計になるため、高速になる信号を確実に捕捉する必要がある。
日本航空電子工業は100BASE-T1に対応し、社債での厳しい環境下でも伝送品質を満足する性能を有している基板対ケーブルコネクター「MX74シリーズ」に注力している。
ADASの性能が向上し各種カメラやセンサーなどの車載部品の高機能化が進み、車載ネットワークはより大量の情報データを高速で取り扱う必要があり、ECU間などの伝送にイーサーネットの採用が増えている。またコネクターハーネスでも信号を遅延なく伝送するために高速伝送への対応とより高品質な伝送性能が求められている背景に対してMX74シリーズは応える。ライトアングル遮蔽(しゃへい)、ストレート遮蔽、ライトアングルフル表面実装(SMT)のタイプをそろえ、それぞれ2極タイプにおいては誤嵌合防止のための嵌合キーをAタイプとBタイプの2種類準備している。
イスラエルの半導体メーカーであるバレンズセミコンダクターは、自動車向けの規格「MIPI A―PHY(ミッピィ・エーファイ)」に準拠したチップセットのサンプル出荷を、業界に先駆けて2022年に開始した。
ホシデンは量産中および量産開発品を含む全ての高速伝送用の同軸コネクターとハーネスの複合ユニット(Assy)において、バレンズセミコンダクターの協力の下、ミッピィ・エーファイとの相互接続性(インターオペラビリティー)が適合していることを確認できたと23年2月24日に発表した。
これにより、ホシデンは、自動車・車載メーカーなどのサプライチェーン強化やECUの性能向上の一助となることを期待している。
日本端子は車載用SMTタイプのコネクターに利便性を追求し、新たに「K89シリーズ」を発売した。同シリーズは基板用デュアル(2列)、基板用ハイブリッド、中継用をそろえる。同社は車載用途強化に向けて、大磯工場(神奈川県中郡)と花泉工場(岩手県一関市)で、自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「IATF16949」の認証取得を目指す。