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都心オフィス堅調 “働く人の快適さ”に人気
三鬼商事(東京都中央区)によると、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)に立地するオフィスビルの平均空室率は2月に6・15%と前月より0・11ポイント下がった。「東京ミッドタウン八重洲」など新築ビルで成約が進んだほか、既存ビルでも拡張移転に伴う成約が見られた。
丸の内や大手町を筆頭に、都心のオフィス需要は堅調だ。グローバル企業が多い赤坂・六本木やIT企業が集まる渋谷でも、コロナ禍で急増した空室が賃料調整や“オフィス不要論”の見直しを背景に急速に消化されている。環境負荷の低減はもちろん、働く人・訪れる人の快適さや健康にまで配慮した物件の人気が高い。
こうした付加価値は欧米が先行していたものだが、国内でもコロナ禍で一気に関心が高まった。特にグローバル企業では人材獲得に直結する要素とされ、最近は「LEED」や「WELL」といった国際認証の取得が入居要件という話も多い。ビルオーナーには相応の投資が求められるが、海外では賃料への上乗せも浸透しているという。
大型物流施設 拡大 保育施設ラウンジ「働く場」満足度向上
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三井不動産と日鉄興和不動産が建設中の物流施設「MFLPロジフロント東京板橋」=完成イメージ
コロナ禍で急伸した電子商取引(EC)を追い風に、大型物流施設への投資が拡大している。食事情の変化を受け、従来の物販に加えて生鮮食品や加工食品を扱う冷凍・冷蔵倉庫のニーズが増加。物流各社や企業内物流で進む拠点の再編・集約も需要をけん引している。完成物件に比べ、より多くの利益を享受できる開発に注力する動きも目立つ。
高速道路網の発達もあり、近年は適地が内陸部にも広がる傾向が強い。開発用地の高騰も顕著で、予定価格の5倍で落札した例もあるという。新規物件が竣工するたびに賃料が上昇しているエリアもあるようだ。関係者からは「オフィスと並び不動産投資の主役に成長した」との声も上がる。存在感を高めているのが不動産大手だ。
不動産大手は大型物流施設にも、不動産開発の知見をフル活用。通勤が容易な立地を厳選したり、オフィスビルと同じくラウンジや保育施設を充実させたりして「働く場」としての満足度を引き上げた。自動化倉庫の構築や100%再生可能エネルギーの供給、周辺の渋滞を防ぐ広い待機スペースといった形の差別化も進んでいる。
首都圏マンション価格 2年連続 最高更新
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三井不動産レジデンシャルなどが手がける「パークタワー勝どきミッド/サウス」には、広いコワーキングスペースを備える(完成イメージ)
マンション価格が高騰している。不動産経済研究所によると、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で22年に発売された新築マンション価格は前年比0・4%高い6288万円と2年連続で過去最高を更新した。建設コストの増加などが響き、東京23区を除く全地区で一段高となった。
一方、発売戸数は前年比12・1%減の2万9569戸。建設資材の価格高騰や供給の遅れを受け、施工の先行き不透明感が拡大。供給が抑えられる格好となった。3万戸を割るのは2年ぶりとなる。ただ、初月契約率は同2・9ポイントの悪化ながらも70・4%と高水準を維持。好調の目安となる7割を2年連続で上回った。
三井不動産/「行きたくなるオフィス」八重洲再開発けん引
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10日開業した「東京ミッドタウン八重洲」では、オープン前から500人以上が列を作った
三井不動産が東京・八重洲エリアで進めてきた大型再開発「東京ミッドタウン八重洲」が、10日開業した。JR東京駅と直結する地下4階・地上45階建てで、延べ床面積は約29万平方メートル。複数の再開発が並行する中で先駆けての開業となり、新たな八重洲をけん引する役割を担う。商業区画ではオープン前から500人以上が列を作り、人の流れを変えたことを印象づけた。
そもそも、八重洲は開発が遅れていたエリアだ。東京駅を挟んだ丸の内に比べ小割りの区画が多く、権利関係も複雑だったことが響いたといわれる。そんな立地で約20棟を解体し、高級ホテルやオフィス、商業施設、周辺のバス停を集約した広大なバスターミナルなどを仕上げた。敷地中央にあった中央区立城東小学校を、全国で初めて複合ビル内に再整備した点も特徴だ。
2007年に開業した六本木、18年の日比谷に続く3件目の「東京ミッドタウン」で磨くのは、同社が得意とする「多彩な機能を複合したミクストユースの街づくり」(菰田正信社長)だ。コロナ禍を経て、変化した働き方を踏まえた「行きたくなるオフィス」も追求。フィットネスジムやラウンジのほか、同社が展開する最大規模の法人向けシェアオフィスも備えている。
東急不動産/再エネ化100%達成 全244施設 相次ぐ入居希望
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東急不動産が開発した「東京ポートシティ竹芝」
東急不動産は保有するオフィスビルなど244施設で、使用する全ての電力を100%再生可能エネルギーに切り替えた。これにより、国際イニシアチブ「RE100」の要件となる電力の再エネ化を達成。併せて、二酸化炭素(CO2)の排出量を年間約15・6万トン(一般家庭約8万世帯分に相当)削減する環境を整えた。国内の事業会社としては先行する動きとなる。
同社は19年に国内の不動産会社として初めて「RE100」に加盟。複数の大型施設を保有する電力需要家である一方、全国でバイオマス発電所や太陽光発電所、風力発電所など定格容量1389メガワットの再エネ事業を展開する強みを引き出してきた。こうして構築したのが、自社の再エネ発電所に由来する非化石価値を自社で保有する施設の再エネ導入に活用する仕組みだ。
再エネ化は同社が進める脱炭素化の取り組みだけでなく、保有施設の入居者や来街者に対する環境価値の提供にもつながる。特に、オフィスビルでは再エネが導入された物件の人気が上昇。最近では外資系に加え、国内企業からの入居希望も相次いでいるという。今後の開業施設でも再エネ導入をはじめとした付加価値を訴求し、事業活動を通じた社会課題の解決を目指す。
森ビル/「国際水準の街」完成 今秋 虎ノ門ヒルズ仕上げ
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虎ノ門ヒルズは今秋の開業を予定している
森ビルが東京・虎ノ門で段階的に開発してきた「虎ノ門ヒルズプロジェクト」が、いよいよ今秋に完成する。14年に開業した森タワーなど高層ビル4棟を主体とする区域面積は約7万5000平方メートルで、延べ床面積は約80万平方メートル。道路や鉄道といった交通インフラと一体的に開発する大規模プロジェクトとしては、03年に竣工した六本木ヒルズに匹敵する規模となる。
辻慎吾社長は「世界からヒト・モノ・カネ・情報を引きつける都市でなければ生き残れない」と指摘。国際水準のオフィスだけでなく、住宅やカンファレンス施設、緑地、駅などを一体で整備する優位性を強調する。地下鉄駅との接続部には3層吹き抜けの広場を設け、桜田通り上には幅員20メートルの歩行者デッキも整備。人の流れやにぎわいを創出する仕掛けにもこだわった。
実は今秋には、同社が30年をかけて取り組んできた「麻布台ヒルズ」も完成する。この規模の街を1年で2件誕生させるのは、同社としても初めての挑戦だ。いずれも建物の環境性能を示す「LEED」や、集まる人の健康への配慮を評価する「WELL」などの国際認証を取得。世界的なESG(環境・社会・企業統治)投資の高まりと、優秀な人材の獲得競争に応える。
日鉄興和不動産/大規模オフィスプロ推進 災害に強い街 構築
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日鉄興和不動産が開発中の「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業」(完成イメージ)
日鉄興和不動産も東京・虎ノ門で「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業」を進行中だ。隣接地への建て替えを終えた虎の門病院の跡地を活用し、約2万2500平方メートルの敷地に地下2階・地上38階建ての業務棟を建設する。大規模オフィスとして事業継続計画(BCP)に応じた国内最高水準の対策を講じるほか、QOLの向上に寄与する各種サポート施設も設ける。
オフィス基準階は1フロア約3500平方メートル。天井高は2900ミリメートルで、あらゆるレイアウトに対応できる奥行き18メートルの整形無柱空間を実現する。内階段の設置も可能という。また建物には制震構造を採用し、震度7クラスでも構造体に被害がない「特級(Sグレード)」の耐震性能を確保。重要設備諸室は2階以上に置き、増加する水害にも配慮した設計としている。
一方、外構部には地形の起伏を生かした緑地を計画。六本木通りから新虎通りを結ぶ東西約850メートルの「赤坂・虎ノ門緑道」と連なる並木道を整備し、敷地全体に約9000平方メートルの緑地を設ける。災害時には帰宅困難者など1500人を受け入れるほか、隣接する虎の門病院と連携した負傷者のトリアージなども行う予定だ。エリア全体でブランド価値向上に重きを置く。