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福井のグッドカンパニーー2
清川メッキ工業社長 清川 肇氏
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清川メッキ工業社長 清川 肇氏
壁を越えて先に行く
―車の電動化で需要が伸びるパワー半導体用ウエハー向けや、微小な電子部品向けなどで接合性、ハンダのぬれ性、耐久性を高めるといった機能を付与する均質なメッキ加工が強みです。市場環境は。
「車1台当たりに使うパワー半導体や電子部品の搭載数増加でメッキ需要が伸びている。2023年4月期の業績は、過去最高だった前期を上振れるか、同程度になりそう。ただ、電子部品向けは車関連のほか、スマートフォンなどに使う部品のメッキも手がける。この在庫が積み上がっており、秋口まで引きずりそうで心配だ」
―あらゆるモノの価格が上がっています。
「昨年暮れに顧客各社に値上げを認めて頂き、収益性を改善できたが、さらなるエネルギーコスト上昇は厳しい。物価高騰で厳しいのは社員も同じ。そこで新年度を待たず、2月にベースアップを前倒しで行い、一律で2万円引き上げた」
―3階建て新工場を立ち上げました。
「2階がパワー半導体向け。3階はセンサーなどの多品種少量用途向け半導体ウエハーの一部工程の受託製造を行っている。以前から1―100枚ほどの量産は手がけたが、今回は数千枚規模が可能で秋に本格稼働する」
―今年のスローガン(方針)を『七転び八起き』としました。
「これまで、すんなり立ち上がった仕事はほぼ無く、何度も挑戦し、たくさん転び、起き上がらないと次にいけない。壁は多いが、たくさん越えると誰よりも早く先に行ける」
松浦機械製作所社長 松浦 勝俊氏
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松浦機械製作所社長 松浦 勝俊氏
高付加価値加工を提供
―5軸制御のマシニングセンター(MC)が主力製品です。工作機械市場の見通しは。
「受注は過去と比べて高い位置だが、調整期間に入った印象。受注残が高水準で部材不足による長納期化の影響も感じるが、正常化に向けていかに軟着陸させるかだ。当社の2022年12月期は過去最高に近い業績。今期も近い数字を見込む」
「先進国で半導体や航空機、メディカルなどの産業をサポートする付加価値の高い加工を担うジョブショップと呼ばれる顧客が当社は多い。付加価値で勝負する顧客ニーズに合わせた機械で、今年は航空機関係、年末には半導体業界向けの需要も上がってきそうだ」
―自動化、無人化需要が高まっています。
「ジョブショップは多様な材料、業界向けの加工を扱い、高速・高精度で汎用性が高く、荒から仕上げまで1台でこなす対応力が機械に求められる。コンパクトながら加工領域は広いという相反する要件も必要。昼間は高付加価値加工を、夜はパレットをたくさん付けて一晩中無人で動かす。これら特徴を備え、入門機は一晩、ステップアップ機は3日ほど自動で動く2ラインで、ワーク、材料、サイズに応じたラインアップを展開している」
―原材料やエネルギーの高騰が続きます。
「昨年より厳しいが、部品調達で改善の兆しがある。本社工場に導入したスマートラインと大型複合加工機の本格稼働、生産効率の向上でカバーしたい。物価高騰を考慮した賃上げも検討している」
フクビ化学工業社長 八木 誠一郎氏
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フクビ化学工業社長 八木 誠一郎氏
激動の渦を好機に
―世界経済の見通しと今年の重点施策は。
「原材料やエネルギーの価格高騰は当分続きそうだ。欧米はリセッション局面と見る向きもあるが、日本も本格的な景気回復には至らず、厳しい状況が続くだろう。こうした中で消費者の目利き力は上がっており、新技術や新商品開発に力を入れ、付加価値を高めて差別化する努力がますます必要。激動の渦を千載一遇のチャンスとし、新たな価値創造に積極果敢に取り組む」
―成長分野への積極展開、収益構造改革、挑戦と変革を実現する経営基盤確立の三つが柱の2022年度までの中期3カ年経営計画を推進してきました。
「建材事業での市場ニーズを的確に捉えた高付加価値製品の開発・販売が収益に大きく寄与し、原材料価格高騰の影響を最小限に抑えた。原価低減や物流コスト見直しなどの経費節減、価格改定で収益構造の転換が進展。社会課題に応えるべく、人工木材を使った屋外家具の展開、独自の環境配慮型商品認証制度の確立など行った」
―30年のありたい姿“暮らしを変えるクリエイターズ”に向け、次期計画の方向性は。
「策定中で最終仕上げ段階。今年は創立70周年の節目。住まいや街、産業などのあらゆる社会課題を見据え、解決していくフェーズとなる。30年、さらにその先を鑑み、地域社会、お客さま、株主、社員含むステークホルダーへ還元しつつ、次の新たな社会課題解決に向けた事業に投資する成長サイクルを描くべく、まい進したい」
セーレン社長 山田 英幸氏
環境対応でEVに採用
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セーレン社長 山田 英幸氏
―カーシートなどの車両資材事業がけん引役で、2023年3月期は過去最高の業績予想。今後の見通しは。
「最大の中国市場がだいぶ戻ったほか、シート材を担当した車種が好業績で、環境対応素材で本革を超える耐久性・軽量・コストの合成皮革『クオーレ』の電気自動車(EV)などでの採用も進んだ。生産効率化やコスト低減、スリム化に一生懸命努力した。ただ世界的な電気代高騰などに対し、さらなるコスト低減余地は少なく今年は厳しいと見る」
―ハンガリー工場が今春本格稼働します。
「クオーレを中心に生産する。環境対応への評価で欧米系EVに採用が広がるなど、グローバルで需要を見込む。糸から製品まで手がける一貫生産体制と内製設備による対応力が当社の強みで環境対応をさらに強化する」
―宇宙ビジネスが注目されています。
「超小型人工衛星や人工衛星部品の事業は形になってきた。地球観測用と、宇宙で宇宙用部品をテストする宇宙実証用などが手がける領域。標準型があり、企画から軌道投入まで約1年の短期間で行え、実績を重ねたことで信頼度が高まった」
―ファッション業界向けの事業の状況は。
「顧客の企画からデジタル化し、膨大な見本作成が不要で、短納期、オンデマンド生産、在庫レスを実現する独自システムのビスコテックスが環境意識の高まりからも広がった。日本の衣料業界は縮小傾向だが、同システムなどで再拡大を支援したい」