-
業種・地域から探す
ライフサイクルを定量評価
-
表彰式は2月1日に都市センターホテルで行われた
LCAは製品の資源採取から原材料の調達、製造、加工、組み立て、流通、製品使用、廃棄・リサイクルに至るまでの全過程における環境負荷を定量的に評価する手法。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成や2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた取り組みが加速するにつれ、LCA手法の重要性はますます高まっている。
LCA日本フォーラムはLCAに関わる産業界、学会、国公立研究機関の関係者が集まるプラットフォームで、産業環境管理協会が事務局を務める。1995年に設立され、2004年からLCAに関する優れた取り組みを「LCA日本フォーラム表彰」として顕彰している。
LCA日本フォーラム表彰の応募部門は、今回から外部支援や協働によりLCAの取り組みや導入を促進、普及に貢献した活動を表彰する「アウトリーチ・コラボレーション部門」が新設され、「環境マネジメント・環境コミュニケーション部門」「研究・教育・普及部門」「功労賞部門」の4部門になった。
22年8月9日から10月21日まで募集が行われ、LCA日本フォーラム表彰選考委員会の審査を経て、12月に受賞者が決定した。凸版印刷が最高位の経済産業省産業技術環境局長賞に輝いたほか、LCA日本フォーラム会長賞1件、奨励賞5件と、公募はせずに関係者の推薦に基づく功労賞に1人が選ばれた。
凸版印刷など8件受賞
経済産業省産業技術環境局長賞は凸版印刷の「凸版印刷の環境影響評価と環境活動―国内、海外一体とした2050年環境ビジョン―」が受賞した。事業拡大とともに多様化する影響領域に対し、日本版被害算定型影響手法「LIME3」による定量的な評価によって、グローバルな環境ビジョンを策定。全社的に環境負荷を低減する取り組みを継続している。
LIME3は世界的規模で被害を考える必要がある気候変動や大気汚染、水消費などの環境への影響を評価でき、同社は水使用の影響に注目している。
審査講評では「LIME3を使って海外を含む全事業の環境影響評価を実施し、環境負荷を総合的に考慮して負荷低減を全社的な目標として活動してきた。特に『トッパングループ環境ビジョン2050』の策定など、LCAを基にした環境指標が事業経営と、経営戦略の一環としてしっかり位置付けられている。多様な環境影響を捉えつつ、重要課題を抽出しながら、継続的な評価、管理と目標設定にLCAを活用されていることは先進性がある」と高く評価された。
このほか、LCA日本フォーラム会長賞には大日本印刷の「DNP ライフサイクル CO2認証システムの構築」が選ばれた。奨励賞は九州電力、日本鉄鋼連盟、明電舎、日立建機、キヤノンの5件が受賞している。