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横河計測/新しい分野への展開に手応え
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𡌶 憲一朗 常務執行役員
横河計測はYOKOGAWAグループの測定器事業を担う中核会社として、顧客の技術革新を支える事業を展開している。
―2022年度を振り返って。
「新中期経営計画で事業領域と定めた『脱炭素』『通信』『Well―being』の事業分野において受注が好調だった。部品調達状況が好転してきたこともあり、増産で需要に応えている。脱炭素に向けた旺盛な投資が受注を押し上げ、通信市場では光通信デバイス検査用の光スペクトラムアナライザーなどが受注を支えた。Well―being分野は大きく三つに分かれていて、工場向け現場測定器、圧力測定器と非通信用光スペクトラムアナライザーがある。医療用を始めとする非通信用途のレーザーを試験する光スペクトラムアナライザーは特に活況だ。圧力測定器は血圧計のデジタル化に伴う新たな需要が出てきている。当社の計測技術の新しい分野への展開として手応えを感じている。営業面では対面での活動が徐々に復活しつつある。コロナ禍で顧客対応が多様化し、リモートとのハイブリッド営業を推進している。海外拠点とのグローバルな交流も復活した」
―23年度は。
「新中期経営計画の最終年度で、基本的な方向性は前年度と変わらない。引き続き三つの事業分野を柱に計画を完遂する。新製品は脱炭素分野において、最新のスイッチングデバイスの開発用途で使用するような製品の開発を進めている。通信分野へは『光と電気』の両方の測定を融合した製品投入を見据えている。海外市場は中国、インドの脱炭素化投資を取り込む。欧州の脱炭素化の動きも加速しており、注目している」
共和電業/自動車分野の製品供給力高める
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田中 義一 社長
共和電業はひずみゲージを中核とした応力計測の総合メーカー。自動車試験分野や運輸・交通インフラ分野、工業計測分野、環境・防災・エネルギー分野に向け事業展開する。計測に関わる幅広い製品・ソフトウエア・サービスをラインアップし、一貫した計測システムを提案する。
―2022年は。
「電子部品の納期遅れや入手困難が響いた。予定通り部品を入手していれば、ほぼ21年と同等の収入は確保できていた。受注は計画通りの水準で、受注残は積み上がった。そうした中、工業計測分野が回復基調だ。インフラ関係ではダム関連を中心に順調で、車両重量計測システムや高速鉄道向け温度検知装置も同様に推移している。これらの案件は安全にも関わることから、製品需要は堅調だ」
―23年は。
「従来から得意としている自動車分野の製品供給力を高めていく。大手自動車メーカーが電気自動車(EV)へのシフトを進める中、車体構造の変化に伴った衝突試験や安全確認で、当社の製品ニーズが高まると見る。国内に加え、米国を中心とした海外にも訴求する。洋上風力発電ではタワーの安全・健全性の監視や気象環境等を観測する計測システムが秋田県沖で導入実績を上げた。今後同様の施設に供給していきたい。ダム関係は既存設備の保守・監視向けで実績があり、更新需要などにしっかり対応していく」
「国内製造においては主力生産子会社の山形共和電業で、新しいモノづくりのあり方に挑戦したい。24年にかけ、生産体制・ライン配置などを大胆に変えていく。また、工場施設内に太陽光発電設備を設置するなど、ESG経営の実践を進める」
京西テクノス/サーキュラーエコノミーの一翼を担う
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臼井 努 社長
京西テクノスは電子計測器など産業用電子機器の修理・校正サービスを展開。医療・通信・計測をキーワードとした「トータルマルチベンダーサービス」を推進している。
―前期(2022年9月期)と今期前半を振り返って。
「売上高は143億円で、21年9月期の113億円に比べ2ケタ%台の成長を維持し、過去最高の売上高・利益となった。本年度は売上高145億円の計画でスタートした。今月で終わる上期の売上高は86億円を見込み、非常によい状況で折り返すことができそうだ。IT関連の案件が順調に伸びたことと、機器修理の依頼増などが寄与した。昨春―夏は半導体不足により、機器を新規購入できないことが修理ニーズの増加につながったようだ。夏以降はこれに加え、投資を控える傾向も見受けられ、修理ニーズを引き上げている」
―今後の戦略は。
「半導体製造工場をすべて請け負うサービスの構築を目指す。医療機関をまるごと請け負うサービスはすでに展開しており、ここで培ったノウハウを生かす。半導体製造工場では多くの計測器に校正が必要で、製造装置向けには修理・メンテナンスニーズがある。また、中古品を整備し再生品に仕上げる事業にも挑戦したい。まずは半導体製造装置の修理に力を入れ、最終的に工場すべてに向けたサービスを展開することが今年の目標だ」
「さらに、今年は全社の基幹システムを含めた業務支援システムを刷新する。業務効率を上げることで、一人あたりの作業時間や工数を伸ばしていく。長期的な視点に立つと、事業を通じてサーキュラーエコノミー(循環型経済)の一翼を担っていきたい」
日本品質保証機構/校正サービスを通じてSDGs目標の達成へ
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小林 憲明 理事長
日本品質保証機構(JQA)計量計測部門は、ISO/IEC 17025の要求事項を満たす校正機関。校正対象品目と範囲は日本最大級を誇り、国内外メーカー問わず対応可能。計測器を一括して校正できることが特徴だ。より高精度・高品質なものづくりが求められるなか、信頼性の高いJQA認定校正への依頼は堅調に推移。校正証明書の発行枚数は年間13万枚以上にのぼる。
―2022年度を振り返って。
「お客さまのニーズにお応えし、真円度測定機や膜厚計、光沢計など新しい品目においてもA2LAの認定を取得いたしました。また、校正業務に加えISO/IEC 17043に基づく技能試験サービスの本格稼働、ウェブを併用したセミナーの開催など、お客さまの利便性を高める活動も実施してまいりました」
―2023年度の取り組みは。
「2023年度も引き続き、お客さまのニーズに基づきJCSSやA2LA認定校正品目および範囲をさらに拡大させる計画です。校正サービスの提供を通じて、当機構のみならずお客さまのSDGs目標の達成に貢献することを目指し、また、校正証明書の電子的発行などにも取り組んでまいります。
なお、これまで品質を維持しながら経営の合理化や業務効率化などを図ってまいりましたが、設備維持やエネルギー価格高騰等の影響を受け4月より一部の校正品目を除き校正料金を値上げさせていただくことになりました。今後もお客さまのご要望にお応えできるように努めてまいりますので、ご理解賜りますようお願いいたします」
日本電子/コア技術 成長市場に展開
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大井 泉 社長
日本電子は1949年設立の理科学・計測機器メーカー。電子顕微鏡や質量分析計などの理科学・計測機器事業をはじめ、産業機器事業や医用機器事業を展開している。創立70周年を機に、新領域への積極参入を進めている。
―2022年度を振り返って。
「新たな中期経営計画『Evolving Growth Plan』(22―24年度)が始動した。その中で、今後進むべき方向を『世界の科学技術を支えるニッチトップ企業へ』と明確に定めた。22年4―12月の業績は活発な科学技術投資や、半導体と電池関連の民需が伸びたことにより、電子顕微鏡を中心に受注が堅調。通期決算では過去最高の売上高と利益を見込んでいる。また、核磁気共鳴装置の開発・製造を担ってきた子会社を、本社に統合した。装置間の連携を推進し、より高い付加価値の提供を目指す」
―今後の展開は。
「2月に新型FIB―SEMシステム『JIB-PS500i』を発表した。先端材料の微細化やプロセスの複雑化に伴い、半導体業界や電池・材料分野ではより高い分解能と精度が求められているため、そうしたニーズに応えられるソリューションを提供していく。コアテクノロジーを成長が見込まれる市場に展開していく『70年目の転進』と、オープンイノベーションによる横断的連携『YOKOGUSHI』を従前より掲げてきたが、これらの戦略をより強化し、さらなる拡大と高収益化を図る。『Evolving Growth Plan』の最終年度である24年度に、連結売上高1700億円達成の目標に向けてまい進していく」
リガク/製品開発・サポート網を増強
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川上 潤 社長
リガクは1951年創業、各種分析装置を世界展開する。
―2022年度は。
「半導体、パワーエレクトロニクス、電池向け需要増により売上高は前年比113%と過去最高を更新。19年に立案した中期経営計画を確実に実行しており、22年の連結売上高は19年比140%を達成した。カーボン・ニュートラルなどのアカデミア需要が好調のほか、工業分野ではセメント工場などのインライン自動機分野へ本格参入した。半導体材料の方位計測やトポグラフィーによる化合物半導体欠陥計測装置も大幅増となった」
「半導体ウエハー検査装置では次世代メモリ・ロジック向けの膜厚計測、CD計測装置などで先端工場向け製品のシェアを高めたほか、パワーエレクトロニクス、200ミリメートルレガシー工場向けが好調で世界首位となった。X線要素技術を強化しX線分析装置の小型・省スペース化と性能向上を実現、革新的製品開発の要求に応えた。エネルギー分解能の高い2次元検出器の製品化は電池材料のX線高感度分析を実現した。海外子会社の要素部品販売では多層膜ミラーによるEUV光学素子や小型X線発生装置が大幅に増えた」
―23年は。
「生産量を増強しサプライチェーン問題によるリードタイム増加を改善する。中期経営計画の再構築および経営基盤整備を進める。汎用分析装置の測定・解析自動化、工業用イメージング装置を増強、日本電子との共同開発による電子線回折装置の販売を本格化する。半導体検査装置はパワーエレクトロニクス向け需要に注力する。同時に新製品開発とカスタマーサポート網を増強して23年後半の増産投資を捉える」
相馬光学/光分析を軸に新分野の製品開発へ挑む
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浦 明子 社長
相馬光学は光分析装置メーカー。光分析と分光技術をベースに、世界の“マザーツール”を作り出している。光分析のベストパートナーとして、顧客のニーズにマッチしたモノづくりに励んでいる。
―2022年度は。
「半導体の調達に苦労した。今も不足している部品があるが、国内だけでなく海外から調達することで、顧客に迷惑をかけないよう努めている。ただ、部品調達において価格面で折り合いがつかないケースが数件見受けられた。21―22年度は開発に重点を置いた期間で、セキュリティー対策品や農業畜産向け計測器が製品として形になった。製品開発を通じて技術者らの実力が上がったと実感している。従来、当社は光を用いて測定・分析する技術を中心に事業展開していた。今回は新たに熱を用いた測定・分析手法を製品に応用した。新たな技術分野に挑むことで、モノづくりの幅が広がった」
―23年度の取り組みは。
「OEM(相手先ブランド)事業の案件を数件控えている。自社製品では『食肉脂質測定装置』をハンディ型にして刷新する。食肉の質を見た目で判断するのではなく、光を当てて成分を測る製品で、世界中を見ても類似品はない。当社の従来品は国内のみならずオーストラリアや米国にも出荷実績を持つ。新製品はすでに、数十台の引き合いがあり、今後に期待が持てる。こうしたBツーB(企業間)製品に加え、BツーC(対消費者)製品の開発にも取り組む。現在進行しているのはスマート農業、畜産向け製品など。あくまでも当社の強みとしている技術やネットワークを生かした分野に訴求する製品開発に力を入れていく」
マイクロニクス/RF技術を駆使 ソリューション提案
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片岡 光仁 社長
マイクロニクスはマイクロ波技術に強みを持つ電子計測器メーカー。製品は公的機関に導入されるなど、顧客からの信頼は厚い。無線通信・自動車業界で、さらなる市場拡大を狙う。
―2022年9月期を振り返って。
「直近の5年間で一番多忙といえるほど、堅調な事業展開が行えた。特に電波暗箱が第5世代通信(5G)基地局向けで好調だった。料金自動収受システム(ETC)向けや電界強度測定システムなど全般的に主力製品の需要が底堅かった」
―23年9月期の前半は。
「前期に比べ引き合いは弱くなった。5G向け基地局の需要が一巡したのではないか。大型案件が減少傾向で、景気のバロメーターとして見ている電磁環境適合性(EMC)試験関連も同様の動きだ。前期から続いて影響があるのは半導体部品の欠損。テスターなど、ある程度数量の出る製品に関しては本来受注できた案件が受注できなくなったケースもある。いままで付き合いのある商社以外に間口を広げ、信頼できる商社から仕入れを試みている。部品確保をどれだけできるかは大きな課題だ」
―今後の取り組みは。
「テレビのインフラ向けにスペクトラムアナライザを訴求したい。4K8K放送対応テレビが普及しているが、集合住宅などのインフラが対応していないケースが見受けられるためだ。その他、電波暗箱は目的に合わせたカスタマイズ案件が増加している。ミリ波対応を含め、RF(高周波)技術を駆使したソリューションを創造し、主要顧客である自動車・家電・通信分野を深耕していく」