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わが社の一押し KISTEC・帝国通信工業・トノックス・南武
KISTEC/ガスクロマトグラフ質量分析機器を導入
多機能の前処理装置組み合わせ技術支援
神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、公益財団法人JKAの機械設備拡充補助事業を活用し、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS)が一体化し、揮発可能な有機化合物を測定できるガスクロマトグラフ質量分析装置(GCMS)を2023年1月に導入した。多くの有機化合物成分が混在する工業製品部材や環境試料で、複数の有機化合物成分をGC部で単一成分に分離し、単離した成分の質量スペクトルをMS部で取得し、成分の構成(定性)、各成分の量(定量)を測定可能。
多機能の前処理装置を備え、通常のガス試料、液体試料のほか、固体試料中の揮発性有機化合物の分析も可能。固体試料中の有機化合物成分を有機溶媒で抽出し分析する場合は液体用のオートサンプラーを、固体試料に熱をかけて抽出した成分を分析する場合はヘッドスペース前処理装置(HS)を使用する。
成分濃度が低い場合には固相マイクロ抽出前処理装置(SPME)や、多孔質吸着剤に試料からのアウトガスを濃縮後、加熱脱着前処理装置(TD)を使用し、微量な成分分析にも対応できる。あらゆる製品、材料に含まれる有機化合物を対象として、企業の技術支援に活用する。
帝国通信工業/生体用電極など医療・健康分野で実績
IoT活用し業務効率化にも貢献
帝国通信工業は、電子回路を制御する「抵抗器」とその技術を応用した「センサー」を主力とし、「NOBLE」ブランドでグローバルに展開している総合電子部品メーカーで、「小型化・軽量化・薄さ・しなやかさ・耐久性」の技術を追求し、パートナー企業の課題を、期待を超える精度と速度で解決することを通じて、日常生活をより快適にする「イノベーション」を届けている。
最近の取り組みとして、川崎市が進める企業振興活動の一つである「新川崎地区ネットワーク協議会」に名を連ね「第1回新川崎マッチング展2022」に出展。フィルム素材の特性やスクリーン印刷技術を生かした生体用電極など、高い信頼性を求める医療・ヘルスケア分野での実績や取り組みをPRした。
また、水族館における漏水予防の共同研究においては、業務の効率化や安全な施設運営に一定の効果が期待できるとして、神奈川県下を含む水族館との実証実験を進める。今後は水族館の漏水予知保全にとどまらず、多用途でのIoT(モノのインターネット)ソリューションサービスへの昇華を目指す。
このように長年のモノづくりで培われた技術を活かし、地域に根差した老舗電子部品メーカーとして新たな進化を遂げようと、取り組みを加速している。
トノックス/世界中に安全・安心を届ける
社会に貢献するモビリティーメーカーへ
トノックス(神奈川県平塚市)は、1950年の創業から働く車の専門メーカーとしてさまざまな特殊・特装車両を製造している。消防車などの緊急車両、移動販売車、バスの架装やトラックの荷台製造、法規に合った仕様への対応など企画・開発から製造まで手がけてきた。多様化し、広がりゆく社会に向けて同社では、自動車架装メーカーから”モビリティーメーカー”へと認知される企業を目指している。
モビリティーとは、自動車などの移動交通手段や第5世代通信(5G)、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)などのテクノロジーを組み合わせることで起こる変化だと捉え、システム開発や自動車以外の乗り物も取り込み、社会への貢献領域を増やしていきたい考えだ。特に電気・水素・燃料電池などの代替エネルギーや、自動運転車両への対応など、これまで培った経験を生かし、幅広く対応していく。
同社では、日本全国・世界中の皆さまに「安心・安全をお届けする企業でありたい」という未来像を実現するために、これまで蓄積されたノウハウをさらに深め、モノづくりを実現する企業として新しい製品の開発・製造・販売を進めていく。
南武/油圧シリンダーのエネルギーロスを排除
大出力・堅牢性、位置決め精度・荷重制御兼ね備える
南武(横浜市金沢区)はダイカスト金型用油圧シリンダーで国内シェア8割を誇るニッチトップ企業。脱炭素社会に向けて開発した電動油圧シリンダー「e-Zero」はポンプやモーターを一体化し、個別制御するためアクチュエーターとして汎用性を備えている。
e-Zeroは、あらゆる油圧シリンダー使用現場の脱炭素化を図るために開発した製品で油圧ポンプ、タンク、モーターをシリンダーと一体化してコンパクトなユニットにまとめた。結果的に電気配線だけで油圧シリンダーの特徴である大出力、堅牢性を発揮し、幅広い用途が見込める製品に仕上がった。
従来のシステムは大型の油圧ユニットから複数のシリンダーへ油圧配管し、それぞれが駆動できるようにモーターを回し続けていた。それに対しシリンダー毎にユニットを背負うe-Zeroはサーボモーターの正回転、逆回転で作動油を制御してシリンダーを前後に動かすアイドリングストップ方式。エネルギーロスがほとんどない。
油圧シリンダーの大出力と堅牢性、電動シリンダーに匹敵する位置決め精度と荷重制御を兼ね備え、加圧試験機やプレス加工機、さらに歪み矯正設備などの引き合いも寄せられている。