-
業種・地域から探す
材料・プロセス 協調が重要に
電池製造技術に深く関わる
-
多くの来場者を集めた「国際粉体工業展東京2022」(2022年12月)
粉体プロセスをめぐる最近のトレンドの一つに電池製造技術が挙げられる。日本粉体工業技術協会の電池製造技術分科会や国際粉体工業展での関連セミナーも毎回、多くの参加者や聴講者が集まっていることからも明らかだ。電気自動車(EV)時代の到来を受け、全固体電池の研究開発に拍車がかかるが、その実用化には粉体プロセスがカギとなっている。
全固体電池は液体の電解質を固体化するが、電子を移動させるためには優れた界面が求められるため、表面改質技術を活用し電解質表面に微小粒子のコーティングが必要になる。ただ粉体層を積層するだけに、三層構造をどう作製するかも重要になる。
乾式粉体で粉体層作製には粒子径分布も影響することに加え、同じ粒子でも圧力のかけ方で詰まり方が変化するなど、粉体の均質化は難しい。それも積層面が大きくなるほど顕著であり、難易度は高まるだけに、材料だけではなく扱いやすさの検討も欠かせない。
実用化が進めば次のステップとして量産化が必要になってくる。材料とともに製造プロセスがうまくタッグを組むことも大きな意味を持つと思われる。ただプロセスの最適化は簡単ではなく、最終機能は同等で簡単に作製できる材料も欠かせない。それだけに全固体電池の材料を検討すれば、より効率化を図り量産化を含めた全体最適につながるとみられるだけに、どのような粒子を活用するかが今以上に重要になるだろう。
摩耗対策で安定操業支える
一方、粉体機器・装置メーカーの潜在的ニーズに対応するべく、粉体関連に本格参入する企業も出てきている。粉体の摩耗は粒子が流動すると発生する。また圧力の高さも影響する。長年使用すれば粒子の大きさに関係なく摩耗につながる。粉体機器・装置の厳しいところで、常に摩耗との戦いとも言われる。そこで、高硬度・高靱性(じんせい)の耐摩耗鋼板を活用して摩耗を抑制し、安定操業につなげようというわけだ。
活用する耐摩耗鋼板は鉱山や土木機械など、過酷な環境下で使われることが多いが、比較的使いやすいのが特徴。コーティング材料のようにはがれる心配はなく、摩耗のペースが計算できることもメリットと捉えている。その半面、加工の難易度が求められる。そこで長年培った切削加工技術を駆使し、活用できるように対応することで、粉体装置の高度化、高付加価値化を支えることを目指す。
耐摩耗は粉体プロセスの中心ではないが、ニーズは強く、メーカーやユーザーは重要視している。粒子スケールの微小化はまだ進むと思われ、それにつれて新たな摩耗現象が発生する可能性も秘める。それだけに潜在需要の大きい粉体関連がターゲットになると見ている。今後が注目されそうだ。