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省エネ・脱炭素達成に貢献
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喜びにあふれた表彰式会場
日機連は令和4年度優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰として、経済産業大臣賞1件、資源エネルギー庁長官賞2件、中小企業庁長官賞1件、産業技術環境局局長賞1件、日本機械工業連合会会長賞6件を選定した。
「省エネ分類」はエネルギー変換効率を向上させる高効率機器・システムや、運転の最適制御などで機器・システム自体のエネルギー使用量の最小化を目指した機器・システムを対象とする(機器・システムを含まないサービスは除く)。
また、水素、アンモニアなどの二酸化炭素(CO2)排出抑制につながる原料利用や炭素除去など、化石燃料からの脱却を目指す機器・システムを「脱炭素分類」として募っている。
22年5月から募集を開始し、今回は昨年度の16件を上回る26件の応募があった。全体的には中堅・中小企業からの応募数が増え、省エネや脱炭素に貢献する機器・システム開発への意欲が産業界全体に普及している様子がうかがえる。東京大学の松本洋一郎名誉教授を委員長とする審査特別委員会と、高知工科大学の筒井康賢名誉教授を幹事長とする幹事会が審議を重ね、受賞機器・システム11件を選定した。
経済産業大臣賞には脱炭素分類からコマツの「電動式フォークリフト(FE25ー2、FE30ー2)」が選ばれた。
同製品はエンジン式フォークリフトに代わって需要が高まっている電動式フォークリフト。急速充電技術を開発したことで、補充電による長時間稼働を可能にした。またエンジン式と同等の走行性と、耐水性・防塵性を高めたことで屋外使用にも対応できる。これまで電動式フォークリフトの使用を想定していなかった木材、建設、産業廃棄物処理現場などでの電動化が可能となり、カーボンニュートラル実現を後押しする製品として最高賞に輝いた。
資源エネルギー庁長官賞には省エネ分類から川崎重工業の「高効率二段過給ガスエンジン(KGー18ーT)」と、同分類から島田理化工業の「電源力率・電源効率改善型PWM制御誘導加熱インバータ」の2件が選ばれた。
中小企業庁長官賞には脱炭素分類からアスターの「アルミニウム成型コイルを用いた高出力密度・高効率モータ(ASTERMOTOR)」が選ばれた。
産業技術環境局局長賞には脱炭素分類からマルヤスの「ロスフィルムを原料に変えるペレット再生装置(ecoペレGP2)」が選ばれた。
フィルム製造工場で発生する切れ端(ロスフィルム)の再利用を可能にした同製品は製造ライン上に設置し、発生したロスフィルム全量を原料還元できる装置。完全非加熱加工のため、物性変化なくペレットへと原料加工できる。ロスフィルムはこれまで焼却処分か、処理業者が回収して再利用加工していた。自社工場内でペレット加工できるため、焼却処分によるCO2排出抑制につながり、また原料として再利用することでフィルム原料樹脂の節約にも大きく貢献する。
日本機械工業連合会会長賞には脱炭素分類から高砂熱学工業と東京電力エナジーパートナー、石原産業、森松工業、日野自動車、産業技術総合研究所の共同申請による「吸着材蓄熱システム(メガストック)」が受賞した。
わが国の全排熱量のうち76%が200度C未満であることに着目し開発された同製品は、100度C程度の低温排熱を高密度に貯蔵できる吸着材蓄熱システム。これによって、利用可能な低温排熱を蓄熱し、離れた場所にある排熱利用施設での放熱が可能になった。実証実験では工場内コージェネシステムの排ガスから蓄熱し、スイミングプールで放熱した結果、91%の再生効率を達成している。未利用エネルギーを利用可能にしたとして受賞に至った。
そのほか脱炭素分類からダイヘンの「エネルギーマネジメントシステム(Synergy Link)」、省エネ分類から安川電機の「塗装用途ワーク供給装置兼ポジショナー(MOTOFEEDER TILT)」など、全6件が選ばれた。
経済産業省の山下隆一製造産業局長は「気候変動問題は新しい資本主義実現において解決していくべき最大の課題。グリーントランスフォーメーション、カーボンニュートラルの実現に貢献してほしい」と訴えた。
受賞企業を代表してコマツの吉澤秀樹執行役員国内販売本部長は「幅広い分野から応募がある中で、厳正なる審査の結果、このような賞を頂き感謝する。今後も革新的な技術開発、商品の普及を通して安心で生産性高く、スマートでクリーンな未来の産業現場を実現していきたい」と謝辞を述べた。
同表彰事業は毎年5月中旬から7月中旬までが応募期間。書類による1次審査、応募者へのヒアリングによる2次審査を経て、現地調査による3次審査を実施する。省エネや脱炭素が産業界でのキーワードになる今、優秀な機器・システムを表彰する同事業への期待と、受賞機器やシステムの社会実装、一層の普及には今後も注目される。
受賞企業の製品・技術
マルヤス
マルヤスの「ecoペレGP2」は、プラスチックフィルム製造中に発生するロスフィルムを原料としてペレットにリサイクルする装置。材料を劣化させずに100%原料還元する再生装置で、原料費削減とロス焼却によるCO2の発生を抑制でき、脱炭素社会の実現に貢献する。
GP2にヒーターユニットを搭載したGP3も開発。高融点・高強度の材料や厚みのあるシートなど、リペット化できるフィルムの範囲を拡大。大容量かつ高速化を目指す顧客の潜在ニーズに対応した研究開発を行う。
また動画でecoペレ活用術などを公開。フィルムへの付着物対策など、役立つ情報を紹介する。
高砂熱学工業 ほか5者
産業分野ではさらなる省エネやCO2削減のために、排熱の利活用が求められている。
200度C以上の高温排熱は発電・蒸気などでの利用が推進されているが、80ー200度Cの低温排熱は用途が限定される上、「熱需要」との時間的・空間的ギャップ(ずれ)がネックとなり、活用されずに大部分が大気中に排出される。
高砂熱学工業ほか5者が開発した「メガストック」はこれまで未利用の低温排熱を吸着材(ハスクレイなど)に回収・蓄熱し、時間あるいは場所が異なる利用先で加温・除湿・乾燥などに利活用できるシステム。「定置型」として同じ事業所内で、あるいは「輸送型」として事業所外の周辺地域で、熱の利用を促す。
コマツ
経済産業大臣賞を受賞したコマツの「電動式フォークリフト(FE25ー2、FE30ー2)」はエンジン式が主流となる2・5トン、3トンクラスの市場の電動化による脱炭素化を図った画期的な製品。作業性はエンジン式同等レベルを保持しながら、急速補充電を活用することで長時間稼働を可能にし、クリーンで、かつランニングコストの面でエンジン式と比較して大幅な効果が見込める。従来の電動式ではバッテリーの保守管理や稼働時間に課題があったが、メンテナンス性能の高さや急速充電技術の開発によって弱点を克服。1時間の充電でバッテリー容量の最大60%の回復を実現した。
屋外でも作業を可能にするため、走行性能や防塵性を高め、従来電動化が難しかった木材業や建設現場でも使用範囲を拡大している。
ごあいさつ 日本機械工業連合会 会長 東原 敏昭
優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰は1980年度に発足し、経済産業省をはじめ産業界の皆さまや、審査に携わっていただきました学識経験者の皆さまなどのご支持を得て、本年度で42回目を迎えることができました。この間に、500件を超える優秀な省エネ機器・システムや脱炭素にかかる機器・システムを表彰することができ、あらためて関係者の皆さまに厚く御礼を申し上げます。
省エネルギー技術の開発は、政府の適切な施策と産業界関係各位の並々ならぬ努力が相まって大きな成果を生み、わが国は世界最高水準の省エネ大国となりました。一方で、エネルギー環境は人類の喫緊の課題と位置づけられ、特に地球温暖化への対応は避けて通れない状況です。
そのような中で、政府は「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、30年までのGHG排出削減目標を示しました。この実現には、徹底した省エネのための技術開発が必要とされるだけでなく、化石燃料の代わりに、アンモニアや水素を利用する技術、CO2を除去する技術、あるいはCO2を有効活用する技術など、脱炭素技術の開発が必要となります。
私どものこの表彰制度が、これらの技術開発の促進と、完成した機器・システムの普及に、少しでも貢献できればと思います。
受賞されたいずれの機器も、開発に携わった研究者・技術者のご尽力が結実した素晴らしい成果であり、また、わが国の省エネルギー技術や脱炭素技術を一層高度化する上で非常に重要なものであります。
受賞者の方々に心から敬意を表しますとともに、精力的に審査にご尽力いただいた委員・幹事の方々をはじめ、関係者の皆さまに、あらためて厚く御礼を申し上げます。
