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デザインと排水性を両立 街づくり支える
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境界ブロックに沿ってライン状に設置されたグレーチング(中部コーポレーション提供) -
幅細化により排水溝設置場所の選択肢が拡大(中部コーポレーション提供)
グレーチングは道路や橋梁などに設置し、側溝を保護し水の流れを確保しつつ、人や車両の通行を可能にする役割を担っている。安心安全な街づくりを支える重要な製品だ。
主に側溝用のふたとして使われており、網目状の構造をしている。ピッチと呼ばれる網目の幅は3センチメートル程度の「並目」から5ミリメートル以下の「極細目」まで、多種多様だ。近年、都市部では網目に杖やハイヒールのかかとがはまったり、ベビーカーや車いすの車輪が落下したりする事故を防ぐため、細目のグレーチングが選ばれる傾向にある。素材も従来の鋼製だけでなく、ステンレス、繊維強化プラスチック(FRP)などさまざまで、設置場所に合わせ選択することができる。
車道などに設置するものを「土木系」、ビルや歩道などに設置するものを「建築系」に分類する。土木系は周囲の環境や交通量などを考慮して選択し、建築系は建物を手がける設計士が選択、決定する。そのため建築系は建物や街の景観など、周囲との一体感が重視される傾向にある。都市再開発の活発化に合わせ、安全性やデザイン性を高めた製品が次々と開発されている。
中でも建築系で主流となりつつあるのが、表面に見えるグレーチングの幅が非常に狭いタイプの製品だ。路面に合わせた表面材を敷いたふた部分と、スリット状のグレーチングが一体となった構造で、側溝に設置した際周囲の床になじみやすい。グレーチングが細く見えることで、空間全体を広く見せることができる。スリット部分はステンレス製や、鋳物製のものなどがあり、建物や街のデザインに合わせて選択できる。
景観に溶け込むことを目的に開発された同タイプだが、グレーチングを細くできることで、設計の幅も広がっているという。例えば階段の下に排水溝を配置することも可能だ。排水性を高めるため、階段の近くに排水溝を設けたいというニーズは高い。しかし従来のグレーチングの幅では、雨で濡れた際に階段から下りてくる通行人が滑る可能性が高いため避けられてきた。同タイプは金属部分の幅が側溝の4分の1程度と狭く、雨で濡れても滑りにくい。これまで安全性の問題から避けていた場所にも排水溝を設置することが可能だ。このほかにも建築物と道路の境界線を示す「境界ブロック」に沿ってラインのように配置するなど、建築士がグレーチングの使い方にこだわった建物も増えつつある。
同タイプは工期の短縮やコスト削減にもメリットがある。コンクリート製U字溝の側面にボルトで直接固定するため誰でも設置でき、工期も短縮する。グレーチングは、コンクリートで作った受枠にはめ込んで設置するのが一般的。受枠を作る工事が必要で、専門の職人の数も減少傾向にある。製品そのものは一般的なグレーチングより高価だが、工程が短くなることで施工費が削減され、全体のコストカットにつながるという。
工業会発足で安全な使用を推進
安心安全な街づくりのためには、適切なグレーチングを選択することが重要だ。しかし素材やピッチの幅など種類はさまざまで、適切なグレーチングを選択することは難しい。耐荷重目安を超える通行量の道路や、材質や表面処理が適さない場所に設置されてしまう場合も多く、安全な使用方法を周知することが課題になっていた。
そこで20年4月に鋼製グレーチング工業会を発足した。これまでメーカーごとに定めていたグレーチングの規格を統一し、安全な設置方法や設置場所に適した材質、メッキの厚みなどについて定めて周知する。同工業会は鋼材を圧接して作るグレーチングを扱う12社で構成され、22年から公式ホームページを公開するなどして本格的な活動を開始した。今後は安全対策や事故の事例などをまとめ、適切なグレーチングの設置を促していく。これからの活動に期待がかかる。
建材として注目 新たな景観生み出す
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商業ビルの外壁として活用(中部コーポレーション提供)
人や車両の通行を促すために進化してきたグレーチングだが、近年では路面以外に設置される事例も増加している。特に注目されているのが、FRP製のグレーチングを建物の壁に建材として使用する方法だ。FRPは耐水・耐薬・耐熱性に優れ、薬品工場などの溝ふたとして使われてきた。強度が高く軽量で、色の選択肢も多いことからデザイン性の高い建材として採用されつつある。
網目状の構造のため一般的な壁と異なり、風や光を通しながら目隠しの役割を果たすことが可能。ビルやマンションの非常階段を隠すための壁や、エントランスの扉、テラスの柵などに使われている。また半透明のFRP製グレーチングを家屋の天井や内壁に使うことで、自然光を取り込んだ明るい室内を実現する。
このほかにも鋼やアルミニウム製のグレーチングを壁材として活用し、壁面緑化を図る建築物もある。各メーカーはグレーチングの新たなニーズに対応し、製品の開発を進めている。
