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産業用モーター「IE5」級 開発進む
EV時代 モーター効率向上 磁性材料開発カギ
モーターによる消費電力量は世界の消費電力量全体の40-50%を占めるといわれ、高効率化はエネルギー消費削減や炭素循環社会に向けて重要とされる。
日本では家庭用・業務用・産業用を合わせたモーターの普及台数は約1億台とされ、年間の消費電力量は全消費電力量の55%となる。産業部門の年間消費電力量のうち産業用モーターは約75%を占めると推計されている。
こうした中、2015年4月に省エネ製品の普及を目指す「トップランナー制度」の対象品目に、産業用モーター(交流電動機)が追加された。規制対象は定格出力が0・75キロ-375キロワット、定格電圧1000ボルト以下の単一速度の三相誘導モーター。船用や液中、防爆型のモーターなどは適用除外されている。
モーターは購入コスト以上に、電力料金であるランニングコストが大きな比率を占める。効率化を図るには高価な電磁鋼板などが必要になるが、エネルギーコストを低減できる。また、長期間運転することで省エネ率は大きくなる。
国際電気標準会議(IEC)が定める産業用モーターの国際高効率規格「IE3(プレミアム効率)」よりも効率が高いIE4(スーパープレミアム)、IE5(ウルトラプレミアム)レベルの開発が進められている。安川電機は超薄型で高効率の永久磁石同期(PM)モーターの新製品を3月に発売した。IE5を達成した高効率に加え、誘導モーターに比べ小型化を実現した。
このトップランナー制度の対象品目は当初は11品目であったが、現在は32品目まで拡大している。この中の品目「乗用自動車」では、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)が対象に加えられた(20年4月施行)。
モーターの効率は磁石や鉄芯などの磁性材料に依存する。EVやPHVの開発が加速しており、そこに搭載するモーターには鉄損や銅損など電力損失の低減が欠かせない。
岩崎通信機はモーターの効率に大切なコア材開発に欠かせない「B-Hアナライザー」を販売している。磁束密度と磁界の特性が測定できる。同社によると19年から国内外で引き合いが活発化している。特に中国が伸長しており、EV開発の需要がけん引していると分析する。
HIOKIはモーターなど消費電力量を測定する「パワーアナライザー」などを含めたエネルギー市場の22年1-9月期国内販売実績を見ると、自動車産業などに支えられるなどして前年同期比21%増で推移した。