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変換効率99%実現 「新基準」検討始まる
機器更新で大いに省エネ
エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)に基づくトップランナー制度とは、自動車の燃費基準や、家電・OA機器など電気・ガス石油機器の省エネルギー基準を、それぞれの機器においてエネルギー消費効率が現在商品化されている製品のうち、最も優れている機器の性能以上にするという考え方だ。
変圧器については、油入変圧器が06年度、モールド変圧器が07年度を目標年度にスタート。その後、14年度を目標年度とする新たな基準が設定された。製造事業者や輸入事業者に対して、目標年度までにエネルギー消費効率の目標達成を求めている。
未達成の製造事業者などには、相当程度のエネルギー消費効率の改善を行う必要がある場合に勧告、公表、命令、罰則(100万円以下)の措置がとられる。
変圧器は電気を用途に応じた電圧に変換(昇圧・降圧)する電気機器。発電された電気は、発電所内で変圧器により適切な電圧に昇圧して送電し、途中の変電所やユーザー側の変圧器で所要の電圧に降圧して利用されている。現行のトップランナー制度では、定格一次電圧が600ボルト超7000ボルト以下で、かつ、交流の電路に使用されるものを対象としている。ただし柱上変圧器は対象外だ。
トップランナー制度の導入以前から、変圧器の電気エネルギー変換効率は98%を超え、電力損失は約2%だった。14年度基準のトップランナー変圧器はエネルギー変換効率99%、エネルギー損失は旧形式と比較して40%低減しており、世界最高レベルの水準となっている。
変換効率98%が99%になったとみると、わずか1ポイントの向上と見えるが、エネルギー損失が2%から1%になったとみれば、損失は半減。非常に高いレベルでの省エネ性向上だ。
変圧器の稼働年数は非常に長く、更新推奨20年、期待寿命年数30年で設計されている。国内の残存台数について、06年度・07年度基準を策定する以前の変圧器は現時点で255万6000台と推計されている。
これらの中には適正な更新年数を経過したものも一定数含まれている。それらを更新することで大幅な省エネ、CO2削減効果が見込まれる。
先月、経済産業省資源エネルギー庁は総合資源エネルギー調査会の第1回「変圧器判断基準ワーキンググループ」を開き、新たなトップランナー基準の設定について検討を始めた。高性能な鉄心素材の安定供給など、技術的な課題はおおむねクリアされており、変圧器メーカーはもう一段の高い目標に挑戦する意欲を示す。