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プラスチック資源循環促進法きょう施行
回収促進、自治体も連携
施行されたプラ新法は、メーカーや小売り業者に使用済み製品の自主回収を認める。これまでは廃棄物処理法の許可がないと回収できず、メーカーはリサイクル事業者経由で再生プラを購入していた。自主回収が可能になるとメーカーは水平リサイクルに取り組みやすくなる。
また市町村はあらゆる廃プラ製品を家庭から収集できるようになる。これまでは容器包装リサイクル法で決められたペットボトルや食品トレーなどが対象だった。プラ新法は歯ブラシやオモチャ、ハンガーなども回収可能となるため、廃プラのリサイクル率アップが期待できる。
またプラ新法はプラ削減も求める。一度の使用で廃棄する「特定プラスチック使用製品」を年5トン以上使用する事業者に削減を義務付ける。特定プラスチック使用製品には店頭で配るスプーン、クリーニング店のハンガーなど12品目だ。事業者には有料化や受け取りを断った人へのポイント還元、回収後の再利用などの対策を求める。取り組みが不十分だと国が改善を求め、従わないと50万円以下の罰金を科す。
さらにプラ新法は「プラスチック使用製品設計指針」を定める。今後、業界の意見を反映しながら詳細を決めるが、簡素化や長寿命化、再生プラの利用、代替素材の採用などの基準を盛り込む。基準を満たした認定品を国が優先的に調達することで、メーカーに指針の採用を促す。
ペットボトルや日用品、資源循環進む
プラ新法施行を待たずに産業界ではリサイクルの取り組みが広がっている。サントリーは2011年、ペットボトルをペットボトルとして再利用するの水平リサイクルシステムを構築した。素材としての寿命が来るまでプラを繰り返し使うので、資源の消費を抑えられる。キリンビバレッジやアサヒ飲料なども再生ペットボトルを採用した商品を発売している。
花王は他社と連携して水平リサイクルの取り組みを進めている。20年、東京都江東区の公共施設で使用済みとなったハンドソープの詰め替え容器を回収し、洗浄後にペレット化し、そのペレットでボトル容器をつくる資源循環を始めた。市川環境エンジニアリング(千葉県市川市)がペレット化やボトル容器の開発で、ヴィアックス(東京都中野区)が物流で協力している。
制服の水平リサイクルも始まっている。制服販売の高宮(東京都杉並区)や警備業の警備ログ(さいたま市南区)などが立ち上げた「企業ユニフォーム廃棄ゼロエミッション推進委員会」は、従業員が着用した制服を回収し、原料の化学繊維に戻して制服に再生する。これまでに全国40社が採用した。
TBM(東京都中央区)は今秋、神奈川県横須賀市で国内最大となる年4万トンの廃プラリサイクル工場の運営を始める。近赤外線を照射して人の目では見分けられないプラの種類を選別する装置を導入する。TBMが開発した石灰石を主成分とする新素材「LIMEX」が混ざっていても選別できる最新鋭装置だ。
自治体も取り組みを強化している。神戸市は日用品メーカーなど16社と連携して、洗剤などの詰め替えパックを市内75カ所に設置した回収箱で回収し、水平リサイクルを目指す取り組みを始めた。また横浜市や宮城県気仙沼市、栃木県など「プラスチックごみゼロ宣言」を発表する自治体も増えている。