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集塵機に求められる”二刀流”防爆正能
集塵機とは文字通り、現場に散在する固形粒子状の粉じんを集めて送風に乗せて移送する装置である。木くずや穀物、あるいは金属粉など、材料、大きさ、可燃性の有無など、特徴もさまざまである。送風される気体も一般的には現場の空気そのものが吸入されることが多い。このような固気(固体-気体)二相流がプロセス内を移動する中で、さまざまな着火源に巡り合うことになる。
集塵機と聞いて、粉じん防爆への対応が頭に浮かぶ人も多いだろうが、状況によっては送風中に爆発性のあるガス・蒸気が混入しないとも限らない。防爆対策を考える時は、集塵機が使用される現場に見合った条件を考慮することが使用者(機器選定者)に求められる。
防爆検定を持つ防爆機器は多々あるものの、その歴史においては爆発性のあるガス・蒸気を対象とする防爆機器が大半を占めており、粉じん防爆機器はまだ少ない。
近年の国際電気標準会議(IEC)規格の採用により、容器による粉じん防爆構造「Ex t(IEC 60079-31)」をはじめ、本質安全防爆構造「Ex i(IEC 60079-11)」や、樹脂充てん防爆構造「Ex m(IEC 60079-18)」などでも粉じん対策の規定が実現している。
欧州のATEX防爆では古くからカテゴリーのマーキングにガス・蒸気(G)とダスト(D)の明確な識別記号が使用されてきた。(例=Ⅱ2G/Ⅱ1D)。
近年は国際防爆認証(IECEx)でも、EPL(Equipment Protection Level)記号を採用している(例=Gb/Da)。
日本でも一部でEPLを採用しているが、検定としてはガス・蒸気防爆と粉じん防爆は個別で取り扱われていた。このことは海外の防爆認証でも同様の傾向にあり、同一の認証にGとDが含まれてはいるが、意図する防爆仕様(GかD)を銘板上で選択(チェックボックス)してから設置することを注意書きに明示している例が多い。
もちろん、GとDの間で周囲温度条件などが異なる場合もあるため、注意が必要である。集塵機では機器環境がGとD両方の場合に最適な防爆機器を選択でき、同時にガス・蒸気防爆と粉じん防爆の性能が認証された、いわゆる”二刀流”の防爆機器(GD)が求められる。
国内検定では非電気機器防爆も採用されていない。防爆機器を認証する側も防爆規格の見直しを通して、検定の最適化に努めなければならない。