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ー動力伝達の最適化を探求ー
高負荷・環境対応に注力
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高負荷対応歯付ベルト(バンドー化学の「セプターテンプラス」)
伝動ベルトはプーリーに巻きかけて動力を伝える。他に動力を伝達する方法には、チェーンや歯車がある。チェーンは高強度や耐熱・耐油性などで、歯車は小型化や回転方向を変えられるといった利点がある。一方で伝動ベルトは軽量、静音性などのほか、低コストで導入でき、油を差す手間も省けるメンテナンス性も長所となっている。
この伝動ベルトには摩擦伝動とかみ合い伝動の二つのタイプがある。摩擦伝動はベルトとプーリーが擦れる摩擦力で動力を伝える。平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどがある。
かみ合い伝動はベルトとプーリーの歯形がかみ合って動力を伝達するタイプで、歯付ベルト(タイミングベルト)がこれにあたる。スリップせず、正確な位置決めが行える。
メーカーではこの歯付ベルトで、高負荷対応の製品開発に注力。提供する製品群の拡充を図っている。射出成形機など産業機械の高精度、高出力化などに伴う高負荷対応へのニーズを踏まえたものだ。
あるメーカーは高負荷対応歯付ベルトの上位製品を発売し、提供商品のラインアップを強化した。高硬度・高弾性の構成材料を採用して耐摩耗性が向上。歯欠け耐久性を従来品に比べ約25%アップし、伝動容量においても約10%向上させた。伝動容量の向上でベルト幅を狭くでき、機械装置のコンパクト化にも寄与する。
別のメーカーでも高負荷対応歯付ベルトの新製品を投入している。高負荷タイプの最上位製品で、製品ラインアップの拡充を図った。新素材を心線に採用してベルトの伸びを抑制し、高負荷伝動のニーズに応えた。
SDGs取り組みに最適
新製品は高伝動容量によって従来品に比べベルト幅を狭くでき、歯ピッチを小さくすることでプーリーの小径化も可能で、機械装置のコンパクト化につながる。取り付け張力の軽減で軸受への負担を減らせ、特殊歯布の採用で発塵も低減させている。
このメーカーではベルトの幅狭化による低消費電力、廃棄ロス低減など環境負荷低減を軸に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みに適した製品としても訴求している。ベルトの長寿命化は廃棄ロスの削減につながる。
高負荷対応の開発製品はともにISOに基づく標準プーリーに使える。このため提供メーカーでは製品特性を享受できる、導入しやすいベルトとしても浸透を図っている。