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インタビュー アイカ工業社長 海老原 健治氏/新日本ウェックス社長 広瀬 純平氏
高付加価値製品を提案/アイカ工業社長 海老原 健治氏
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アイカ工業社長 海老原 健治氏
建装建材、化成品の2事業を展開し、暮らしの安心・安全を守るアイカ工業。住宅向けが多くを占めるため、人口減少に伴う新規着工戸数の減少で、国内市場は縮小が見込まれる。一方、海外では新興市場の旺盛な需要を取り込むべく、積極的なM&A(合併・買収)や設備投資で地産地消ビジネスを展開する。海老原健治社長に戦略や取り組みについて聞いた。
(名古屋・津島はるか)
―国内と海外、それぞれで販売網の強みがあります。
「国内は、建装建材の商品を扱う販売代理店約300社で構成する『アイカ会』が商品を在庫し配達する仕組みになっている。また、化成品の中でも塗り床材などの施工建設樹脂は、販売品目ごとに三つの『施工店会』がある。協力施工店網として機能し、施工の講習や新製品の説明会などを実施できる体制を敷いている。一方、M&Aで増やしてきた海外拠点は、製造拠点だけでなく販売網も一緒に取得しグループで扱う全ての製品を取得した販売網に乗せる。それにより既存製品も拡販できている」
―縮小する国内市場での戦略は。
「長年手がけてきた接着剤で培った技術力を生かし、土木建材以外の分野向けに提供する『機能材料』の開発に人的資本を割き、強化している。自動車や半導体向けに、機能性を持たせた高付加価値な製品を作って提案する。また、既存製品の拡張展開として、オフィスや商業施設などの非住宅向けや、改修工事まで用途を広げている」
―営業体制も刷新しました。
「経営課題のひとつに利益率の向上があり、各部署がさまざまな方法で生産性の向上に努めている。その一環として、営業部署は新たに樹脂別の販売体制にした。それぞれが専門知識を深め、市場分析をした上で営業ができる体制を整えた」
―ショールームが好評です。
「施工店やデベロッパー向けに、材料を目で見て手に取ってもらうためのショールームを全国4カ所に用意している。BツーB(企業間)向けとしているが、最近、一般顧客である施工主の来場が増えてきた。当社ではキッチン天板や水回りなどの製品も手がけるが、大手がやらない市場の隙間にうまくはまり、改修用途で需要が増えている。現在、要望に応えられるように名古屋市内のショールームを改装している。BツーC(対消費者)向けの展示ラインアップを充実させ、12月にはオープンする予定だ」
リネンレンタル 質向上/新日本ウェックス社長 広瀬 純平氏
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新日本ウェックス社長 広瀬 純平氏
ホテル向けを中心にリネンサプライ、ユニホームレンタルを全国で展開する新日本ウエックス(名古屋市港区)。インバウンド(訪日外国人)の回復に伴い、外資系高級ホテルの開業計画が相次ぐなど市場は回復への期待が高まっている。ニーズが多様化する中、広瀬純平社長に市場の変化、見通しを聞いた。(名古屋・鈴木俊彦)
―リネンサプライの事業環境は。
「コロナ禍を経て、ここにきて一気に回復してきている。現在は全国の約950のホテルと取引し、12万室のリネンサプライを請け負っている。コロナ禍でも地道に営業活動を続け、この3年間で3万4000室近い新規を獲得できた」
―コロナ禍前後で、顧客ニーズはどう変化しましたか。
「近年は高級ホテル業態からの需要が増えており、リネンサプライがホテルの差別化の一つになっている。高品質な素材の採用、衛生面をどう担保するかといった要求が外資系ホテルを中心に高まっている。当社はドイツの品質保証規格『RAL』を取得しており、社内ラボでのテスト、検証によりリネンの品質を定量化し、安定化を図っている」
―クリーニング工場の自動化・省力化対応を積極化しています。
「需要の高まりに伴い、自動化・省力化で生産能力の向上を図っている。自動でリネンやタオルをたたむ設備や無人搬送車(AGV)などを導入し、神奈川県にある伊勢原工場では生産性の向上を図っている。省エネ対応にも取り組んでいる。これを成功例に、名古屋市南区にある堤工場でもリニューアルに合わせて自動化設備を導入した」
―働き方改革を推進しています。
「工場は軽作業中心で、人手による細やかな仕上げ作業などに人員を配置している。伊勢原工場では託児所、学童保育を設け、従業員が働きやすい環境を整備している。すべての業務で働き方改革に取り組んでおり、2023年度中には配送を担うドライバー全員にスマートフォンを配備するほか、配送計画を作成するソフトウエアも導入して“2024年問題”に対応する」
―ITを活用したサービスの開発、提案を進めています。
「ユニホームにICチップを付与し、枚数や洗濯回数を記録して在庫管理に活用する取り組みを25年前から行っている。これを発展させて、ホテル館内で行っているユニホーム交換、受け渡しを24時間無人化するサービスを始めている。着替え回数の把握を通じて衛生面だけでなく、紛失などのリスク管理などにも対応できる。ホテルの人手不足、コスト削減に貢献していく」