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県幹部らが語る 今年度の意気込み―1―
茨城県は第2次総合計画「『新しい茨城』への挑戦」を策定して2年目を迎えた。将来の成長を見据えた新たな施策をスピード感を持って実行に移している。県の各部局と外郭団体の幹部に今年度の意気込みや重点施策を紹介してもらった。
総務部/デジタル技術で業務改革
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池元 和典部長(60)
「新しい豊かさ」「新しい安心安全」「新しい人財育成」「新しい夢・希望」の加速化を基本とした当初予算編成に加え、物価高騰や県政の諸課題、さらには、災害にもスピード感をもって対応するため、補正予算を編成した。
グローバルな視点と挑戦の気概を持ち、茨城の潜在能力を最大限引き出した未来を見据えた施策を推進し、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の「新しい茨城」づくりに挑戦していく。
予測困難な「非連続の時代」の中で、前例踏襲や横並びを打破し、新たな発想で課題に取り組むため、採用区分や年齢などにとらわれない適材適所の登用や、多様な働き方の推進により、「人財」の確保・育成を進める。
加えて、県民サービス向上のため、引き続き、デジタル技術を活用した業務改革に取り組むとともに、時代の変化に柔軟かつ的確に対応し、積極果敢に挑戦していく県庁への変革を着実に進めていく。
政策企画部/臨海部核に新産業創出
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北村 孔敬部長(58)
第2次県総合計画において新たに導入した「いばらき幸福度指標」を活用し、政策の成果や課題の明確化を図りながら、「県民幸福度No.1」の実現に挑戦する。
本年度は、東京圏の若手人材を呼び込む「副業プロジェクト」により、関係人口の創出・拡大を図るとともに、県北振興については、増強した「起業型地域おこし協力隊」や県北ロングトレイルなどの地域資源を活用し、活力があり持続可能な地域づくりを進める。
また、引き続き「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクト」の推進により、臨海部を中心に本県の将来を担う新産業の創出に取り組む。
つくばエクスプレス(TX)県内延伸について、延伸先は土浦方面とし、JR常磐線との接続駅は土浦駅に決定した。今後は、県内延伸構想の具体化に向け、実現可能性を高めるため、まずは採算性の確保に向けた方策の調査・検討を行い、県としての延伸計画素案の策定を進めていく。
産業戦略部/企業に求められる人材の育成・確保
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大竹 真貴部長(43)
県内の景気は、コロナ禍の影響から持ち直している一方で、物価高やエネルギー価格高騰が、県内中小企業の経営に影響を及ぼしている。今後、「ゼロゼロ融資」の返済開始が本格化する中で、まずは、資金繰りを支援し、経営の安定化を図っていく。
その上で、新製品・新技術開発や海外展開など、前向きに取り組む事業者を支援していくことで、県内中小企業の成長を後押ししていく。
加えて、産業構造の変革に対応し本県経済が持続的に発展していくためには、企業に求められる人材の育成・確保が不可欠であるため、成長産業・分野への円滑な労働力の移行や生産性の向上につながるリスキリングの推進やIT人材の育成等に取り組んでいく。
そのほか、カーボンニュートラルの実現に向けて、アンモニアなどの脱炭素エネルギーのサプライチェーン構築を図るため、先進技術を活用した実証プロジェクトの組成などを促進していく。
営業戦略部/県産品の海外販路開拓に挑戦
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鴨川 修部長(60)
社会経済活動をいち早く回復させ、県内経済の活性化を図るため、国内はもとより海外への営業活動を戦略的に進めていく。
観光では、今年秋の「茨城DC」に向け、集中的なプロモーションに取り組み、全国からの誘客を図る。さらに、茨城空港の国際線の運航再開などを追い風にしながら、海外からの観光需要を確実に取り込んでいく。
農産物では、「常陸牛・豚肉の常陸の輝き・梨の恵水・栗・メロンのイバラキング」の5品目について、重点的にトップブランド化を図る。併せて、県産品の海外販路開拓にも挑戦するほか、本県への投資を呼び込むなど国際ビジネスを推進していく。
12月に開催される「G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合」などの絶好の機会を逃すことなく、メディアやSNSを積極的に活用し、国内外へ本県の魅力を戦略的に発信することにより、茨城のブランド力の向上につなげていく。
立地推進部/成長産業を誘致
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冨田 悟部長(60)
半導体や次世代自動車など、今後も成長が期待できる産業や本社機能を中心に誘致活動に取り組んでおり、企業立地実績は全国トップクラスを維持している。これまでに、リチウムイオン電池の製造で世界有数の企業であるAESCジャパンなどの立地が進んでいる。
引き続き、戦略的な誘致活動を展開する一方、旺盛な企業ニーズを取り込むため、産業用地の開発も進めている。供給が逼迫(ひっぱく)している圏央道沿線では、2022年に分譲を開始した「圏央道インターパークつくばみらい」に続き、「フロンティアパーク坂東」の公募開始に向けて準備を進めているほか、半導体関連産業が集積するひたちなか地区でも開発を進めていく。
今後も、経済安全保障の確保に向けた生産拠点の国内回帰の動きなど、社会経済情勢の変化を捉えながら、優良企業の立地を進め、設備投資や雇用の創出を図り、地域経済の持続的な発展につなげていく。
土木部/防災・減災対策を加速
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田村 央部長(51)
「災害・危機に強い県づくり」と「活力を生むインフラと住み続けたくなるまち」の整備に引き続き取り組む。
特に、近年、気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や切迫する大規模地震に対応するため、国と歩調を合わせ、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」予算を活用した重要インフラ等の機能維持対策を集中的に実施する。
県勢のさらなる発展には、広域交通ネットワークの充実が不可欠。圏央道の4車線化や東関道水戸線の整備促進、スマートICの設置促進などに取り組んでいく。
茨城港と鹿島港においては、岸壁や防波堤の整備促進、カーボンニュートラルポート形成に向けた港湾機能高度化の実現への取り組みを進める。
さらに、生活道路や通学路の整備はもとより、観光地の渋滞対策や偕楽園の魅力向上、サイクリング環境の整備など、観光振興策にも積極的に取り組む。
県民生活環境部/多様性・循環型社会を推進
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林 利家部長(58)
豊かな自然環境を守るとともに、安全安心でゆとりある豊かな暮らしが実現する社会環境づくりに取り組む。
ダイバーシティ推進センターを拠点に位置づけ、県民の意識醸成など積極的に推進し、一人ひとりが尊重され、誰もが個々の能力を発揮できるダイバーシティ社会の実現を目指す。また、循環型社会を推進するため、フードロスを抱える事業者と活用する事業者のマッチング支援や、リサイクル飼料化など「いばらきフードロス削減プロジェクト」を進める。
県内産業の発展や県土の保全のために不可欠な新産業廃棄物最終処分場についても、2026年度末の供用開始を目指し、安全を最優先とした地域と共生する施設整備に取り組む。
不法投棄対策については、昨年11月に残土条例を改正し、残土の発生から運搬までも規制対象とした。ゲリラ投棄対策も引き続き実施し、「茨城は捨てづらい」と思われるような環境づくりに努める。
防災・危機管理部/避難行動の情報発信強化
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山崎 剛部長(58)
防災については、発災時の逃げ遅れによる被害ゼロに向け、市町村と連携し、ハザード地区の住民に早めの避難行動をとってもらうためのマイ・タイムラインの作成促進と、避難支援が必要な人に対する支援体制の整備を図る。これらの実効性を高めるため、住民に参加いただく避難訓練を実施するとともに、避難行動を促す情報発信を強化していく。
消防団については、災害の激甚化・頻発化により、地域防災力の要としての重要性は高まっており、処遇改善などによる消防団員の確保や、地域の課題に柔軟に対応できる機能別団員制度の導入等により、地域防災力の強化を図っていく。
原子力行政については、県民の安全・安心を最優先に、原子力施設への立入調査などによりトラブルの未然防止等に取り組んでいく。東海第二発電所については、安全性の検証や国・市町村・関係機関と万が一の事故に備えた実効性ある避難計画の策定に取り組んでいく。
農林水産部/茨城農業の将来ビジョン策定
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上野 昌文部長(49)
「儲かる農林水産業」の実現に向けて、農林漁業者の所得向上にこだわった各種施策を展開していく。
農業では、本県農業の構造改革も含めた農業政策を進めていくため、概ね30年後を見据えた政策の方向性を示す「茨城農業の将来ビジョン」を5月に策定した。本年度はビジョンの実現に向けた取り組みとして、メロンや常陸牛のブランド化、有機JAS認証取得等を推進していく。
林業では、森林湖沼環境税などを活用し、規模拡大に意欲的な経営体による、森林経営の集約化を進めるほか、県産木材の需要拡大を図ることなどにより、自立した林業経営による適切な森林整備と森林資源の循環利用を推進する。
水産業では、ICTを使った養殖事業の実証や県産キャビアの市場づくり、大規模水産加工場誘致による産地の競争力強化に取り組む。また、県が新たに開発した品質保持技術の普及促進などにより、シラウオの高価格商品の創出を図る。
保健医療部/減塩意識の醸成・健康づくりの支援
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森川 博司部長(50)
本県は全国に比べ高血圧等を原因とする脳や心臓の病気で亡くなる方が多く、食塩のとり過ぎや運動不足等を改善していく必要がある。このため、減塩意識の醸成等による食生活の改善のほか、ウオーキング等の各種運動や特定健診の受診等にポイントを付与するスマートフォンアプリ「元気アっプ!リいばらき」を運用した健康づくりを支援している。
また、ICTを活用した脳疾患分野を中心とする医療連携体制の構築のため、県では遠隔画像診断治療補助システムの導入を支援しており、今後は心疾患分野等での活用を進めていく。さらに、体調悪化時の備えとして、救急車による病院への搬送時間をできる限り短縮するために、関係医療機関等との調整を進め、救急患者の受入体制の強化を図る。これらの取り組みとともに、がん・脳卒中・心疾患、救急・周産期・新興感染症などへの対応を盛り込む予定の「第8次茨城県保健医療計画」について、今年度内の策定を目指す。
福祉部/出会いの場 より多く
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山口 裕之部長(58)
少子化対策としては、「いばらき出会いサポートセンター」でAIマッチングシステムを活用し、相性の良い相手を紹介することでマッチングの確率を上げるとともに、今年度は市町村や企業等と連携したイベントを開催し、より多くの出会いの機会を提供していく。
他県に先駆けて導入した「パートナーシップ宣誓制度」については、12都府県を含む全国250以上の自治体で導入が進んでいる。連携にも取り組み、4県2市と協定を結んでいるが、さらに多くの自治体に働きかけていく。
障害者支援施設である「あすなろの郷」の再編整備に関し、重度の障害がある方に対して、質の高いサービスを提供する施設(セーフティネット棟)を整備する。7月12日に起工式が執り行われ、まずは、本棟(病院・医療ケア支援)の工事に着手した。次に、A寮棟他(強度行動障害者支援)の工事については10月以降に着工する。