-
業種・地域から探す
経済界と府・市一体のビッグプロ 未来医療国際拠点開設
推進機構が組織化、国際貢献目指す
関西経済界と大阪府・市が一体となったビッグプロジェクトの一つである未来医療国際拠点が2024年春に大阪市北区の中之島地区に開設する。医療機関と企業、スタートアップ、支援機関が集積する全国初の拠点。再生医療をベースにゲノム医療や人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)の活用などで最先端の未来医療の産業化を推進する。
「世界的なライフサイエンスクラスターに向けた産学官での拠点形成の取り組む」(吉村洋文大阪府知事)一環で、大阪府北部の「健都」「彩都」と合わせて拠点化する。未来医療国際拠点には企業ニーズと大学などの研究シーズをマッチングして共同研究や技術移転などでの支援機能を持つリエゾンオフィス、産学医連携に向けたインキュベートスペース、病院、高度健診センターなどがあるほか、京都大学iPS細胞研究財団が入居する。
再生医療の原料となる人の細胞や組織の安定供給に向けた共創プラットフォームを構築し、同拠点での実践や展開を目指す。大阪府は再生医療サプライチェーンの検討などで開設後の25―30年ごろの再生医療のマイルストーンを描くとともに課題把握に努めている。
ロート製薬やシップヘルスケアホールディングス、住友ファーマなどで構成する未来医療推進機構が拠点全体をオーガナイズし、国内外の患者への未来医療の提供による国際貢献を目指す。
大阪主要企業決算 経済活動の正常化鮮明に
大阪の主要企業の3月期決算が出そろった。コロナ禍から経済活動が正常化しつつあり、2024年3月期連結決算の見通しは多くの企業が増収を見込む。一方で利益は各社によって増益、減益と分かれる。
コロナ禍から回復/カギ握る攻めの経営
パナソニックホールディングス(HD)は23年3月期で売上高が4年ぶりに8兆円台になり、24年3月期も増収を見込む。当期利益は3500億円と5年ぶりの最高益を目指す。電気自動車(EV)向け電池の米国補助金効果が大きい。
ダイキン工業も24年3月期は売上高が初の4兆円超えを狙い、各利益も堅調で3期連続で過去最高の業績を見込む。同社では「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)加速や新興市場の成長など、環境変化をチャンスとする事業拡大と、収益力強化に取り組む」とする。
塩野義製薬は新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」効果で23年3月期は売上高、当期利益とも過去最高の業績となり、24年3月期も増収を目指す。
関西電力は原子力発電所の再稼働が進み利用率が高まる見通しで、24年3月期は売上高、各利益とも過去最高を見込む。大阪ガスの24年3月期はガス販売単価の低下で減収だが、米国のフリーポート液化天然ガス(LNG)基地が操業再開したのを受け、各利益は大幅増益を見込む。
エア・ウォーターはM&A(合併・買収)戦略を駆使し、産業ガス以外にも医療や農業・食品分野など事業領域を拡大した効果などで、23年3月期に初の売上高1兆円を達成した。24年3月期も売上高と各利益で過去最高を更新する見通しだ。岩谷産業も主力のLPガス事業が堅調で、24年3月期も過去最高を更新する増収増益を目指す。
一方で不振が目立ったのはシャープ。液晶事業が市況の悪化で堺市のパネル工場の生産設備で多額の減損損失を計上し、23年3月期は6年ぶりに赤字転落となった。24年3月期はコスト削減を徹底し黒字転換を目指す。
米国の金融不安など世界経済は不透明感を増している。各社は改めて自社で培ってきた経営資源を武器にし、思い切ったM&Aなども含め攻めの経営を展開できるか、求められそうだ。