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Well-being Tech International2023
ウェルビーイング社会を実現するテクノロジー集結
人びとが安心して働き、やりがいと幸福感を持って活動できる「ウェルビーイング」。いま産業界で最も注目されるキーワードの一つであり、その関連技術が集められた「ウェルビーイング・テック・インターナショナル2023」が未来モノづくり国際EXPOの期間中、フェアinフェアとしてインテックス大阪会場内で初開催される。約30の国内外企業や国際機関の展示や企業の取り組み事例などを紹介するフォーラムを通じて最先端技術を発信する。
安全・健康・ウェルビーイング
同展はモノづくり産業やインフラ、環境など幅広いシーンに役立つ技術・仕組み「ウェルビーイングテクノロジー」にフォーカスする。主催はロボット、ゼネコン、電機などの企業関係者や関連機関を中心に構成するウェルビーイングテックインターナショナル企画推進委員会。ITシステムやロボティクス、防災など多彩なジャンルから、私たちの社会をより良く構築し社会にプラス効果をもたらす“テクノロジー”部分に焦点をあてているのが特徴だ。
同展開催に向け準備してきたセーフティグローバル推進機構の藤田俊弘理事(IDEC常務)は、「安全・健康・ウェルビーイングの3点を一組みとして考えるのが世界で広がる“ビジョン・ゼロ”の潮流」と強調する。特に、従来からある労働災害をなくす“マイナスからゼロ”の活動に加えて、メンタルヘルスの向上も踏まえて“ゼロをプラスに(有益に)”転換させ、生産性と同時に好ましい連鎖的な流れとそれを支える最新技術の重要性を説く。
また会場では、国連機関の国際労働機関(ILO)や国際保健機関(WHO)関係者はじめ、世界のウェルビーイングをリードするキーパーソンが集い、実践報告などが行われる。メルセデスAMGペトロナスフォーミュラワン(F1)チームは、安全・健康・ウェルビーイングを掲げて、8年連続世界一を成し遂げたチームづくりの背景を解説する。
技術から未来切り開く
ではなぜ今、ウェルビーイング社会をターゲットとし、経営テーマに取り入れるなどの動きが世界中で活発となっているのだろうか。
高度に発達したグローバル社会には80億人もの人びとが生活し、さまざまな社会・環境課題が存在する。安全や健康を脅かすこれらの課題背景をひもとき、身体的にも精神的にもより良好な状態をつくることで、生産性の高い社会と人々の幸福度を同時に上げていく手法が世界の主要企業と国連機関などで推奨されている。
日本では世界と比べ幸福感の低下という課題が横たわる。3月に発表された「ワールドハピネスレポート2023(世界の幸福度ランキング)」では、前回の54位からは上昇したものの47位に留まる。6年連続トップを維持したフィンランドなど欧州系と比べ、幸福感ややりがいを感じづらい社会と言われる。
だが、日本が培ってきた高度な技術開発力には、未来を切り開く「ウェルビーイングテクノロジー」のシーズが多く眠っているとされる。2014年にドイツで始まったビジョンゼロのコンセプトは年々広がりを遂げ、22年には日本が中心となりオンラインで「ビジョンゼロサミットジャパン」開催につながった。
企業活動、技術開発のあり方として、いち早くウェルビーイングを標ぼうし取り組んできた国内の先端企業の発言には、世界の専門家から注目が集まった。
2030年を見据えて
こうした流れを組んで、初開催イベントとなる今年を皮切りに、展示会規模を拡大させて25年の大阪・関西万博との連携イベントとしての計画を予定している。
そして国連の持続可能な開発目標(SDGs)のゴールとなる30年を目指し、国際的な見本市への飛躍を見据える。今まで以上に多くの企業参画を呼びかけ、日本の底力を引きあげる原動力となることを目指す。
持続可能な未来のため、安心して健康に、そして働く人びとがやりがいを持った環境と幸福度、高度な生産性が同時に好循環でまわる、日本ならではの発信に期待が高まっている。
新刊/実践!ウェルビーイング
世界最強メソッド「ビジョン・ゼロ」
全世界で約1万社の企業が実践するメソッド「ビジョン・ゼロ」を、世界中で推進する専門家たちが実践事例や技術動向を交えて解説した一冊。働く人がウェルビーイングな状態にあると、創造性が3倍、生産性は1.3倍高まるという。加えて、ESGやSDGsへの取り組みと軌を一にし、企業価値の向上や優秀な人材確保にも直結する。執筆は向殿政男明治大学名誉教授が会長を務めるセーフティグローバル推進機構。
(日経BP、2750円)