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「うめきた2期」でイノベーション促進
官民一体で社会課題解決
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中核施設の完成予測イメージ(グラングリーン大阪開発事業者提供) -
大学・研究機関による展示会を訪れた松本関経連会長
JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」でイノベーション創出の機運が高まっている。うめきた2期の開発に関わる複数企業などで構成される運営法人「うめきた未来イノベーション機構(U―FINO)」は、2024年夏の一部先行まちびらきに際し、スタートアップと大企業の連携や新規事業開発を促進させる施設を開く予定だ。官民一体で社会課題の解決や新産業の創出に取り組む。
オフィスや商業施設、都市公園などを有する予定のうめきた2期。U―FINOは企業や大学が入居する「中核施設」の開業準備を進める。主要部はエリア北側の建物1ー9階に置かれ、延べ床面積は約1万4000平方メートルに達する見通し。スタートアップや大企業の新規事業部門、大学、ベンチャーキャピタル(VC)が集まり交流できる場とする。
入居者に際してはU―FINOが審査を行う。詳細は詰めているが「社会課題の解決を志しているか」(中沢則夫U―FINO理事長)などの観点から評価する予定だ。中沢理事長は「ダイナミズムや多様性といった価値観を共有できる企業に来てもらいたい」と理念を示す。
開業に先立ち、既存施設でもさまざまな取り組みを計画。早ければ今春から講演会や人材育成プログラムを提供することを検討している。中沢理事長は「我々自身がスタートアップのようなもの。期待される仕事をどうやって作っていくか」と力を込める。
“予行演習”も行われた。2月のU―FINO設立記念イベントでは、大阪府・市などから成る協議会が実施してきたイベントを引き継ぎ、大企業とスタートアップのマッチング「うめきた響合の場」を関西経済連合会などと共に開いた。
レンタカー関連サービスを提供するパスファインダー(東京都板橋区)の小野﨑悠介社長は、南海電気鉄道とサービスの拡大について意見を交わし「好感触だった」と語る。
大企業も成長の芽を探している。NTT西日本イノベーション戦略室の及部一堯氏は「既にスタートアップ2社と面談した。社会課題の解決にともに取り組める相手を見つけたい」と意欲を示した。
会場を訪れた関経連の松本正義会長は「(大企業やスタートアップの)交流の場が非常に重要。知の集積ができるとしたら、非常に有効な社会インフラになるのではないか」と期待をこめる。「うめきた響合の場」などの取り組みは、うめきた2期でも継承される予定だ。どのようなビジネスが生まれるのか、今後が注目される。
インタビュー/うめきた未来イノベーション機構理事長 中沢 則夫氏
開発を機に反転攻勢
―うめきた2期に向ける期待は。
「関西経済の失速が言われて久しいが、『日本最後の一等地』であるうめきた2期の開発を機に反転攻勢したい。注力分野は主に二つ。スタートアップの振興と大企業の新規事業促進だ。特に後者を通じて破壊的なイノベーションを引き起こしていくことが重要だ」
―スタートアップ関連は東京で盛んです。大阪ならではの独自性をどう出しますか。
「比較対象は東京ではない。うめきた2期は関西近辺の企業が主な顧客だが、ターゲットは日本全国に及ぶ。一方、『知らんけど』という言葉を使いながら意見や方向性をとにかく打ち出したり、面白そうなことには率先してお金を出したりする関西の文化や人々の気質はイノベーション向きと考えている」
―具体的な施策は。
「まずはメールマガジンなどを通じた広報・周知活動やコミュニケーションのプラットフォーム作りを想定している。助走しつつ来夏に向け盛り上げる」
―U―FINOは今後、どのように活動しますか。
「挑戦による失敗を恐れない、根回しより先に動く。これらの行動指針に基づく。最後発のイノベーション推進機関としてスピード感を持って取り組む」
