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配管機材・技術
配管機材は水やガスといった液体や気体の流体の安定搬送に欠かせない役割を担う。パイプやバルブ、継ぎ手、支持具などがこれにあたる。安心・安全で無駄のない流体の効率的な利用を支え、社会に貢献している。関係メーカーでは品質・性能の追求と併せて、少子高齢化やこれとリンクする労働人口の減少も背景に、施工時の効率性や省力化に重点をおいたモノづくりを推し進めている。
施工の効率化・省力化推進
配管機材集結の展示会開催
配管機材に求められるニーズには安全性や耐久性、耐熱性、耐食性、軽量化、耐震性など、基本的なところから使用用途に応じたものまで、さまざまな品質性能が問われる。
こうした各種配管機材機材が集結した展示会「第21回管工機材・設備総合展OSAKA2023」(大阪管工機材商業協同組合主催、194社・団体出展)が昨年9月、大阪市内で開催されコロナ禍の影響を受けた前回(20年、1万405人)を大幅に上回る1万5298人が来場し、出展会場はにぎわいを見せた。
会場では生産現場での省エネルギー性をはじめとした環境関連機器など、ニーズに応える各種機器を出展、紹介。エアコンに用いられる冷媒銅管の接続では、ロウ付けが不要で管同士を簡単につなげられる継ぎ手など、施工現場の省力化に応える機材も目立った。
中でも少子高齢化の進展などにより人手不足が顕在化する現場作業にあって、メーカー各社が重視して取り組んでいるのがこうした施工の効率化対策だ。
現場作業の手間を軽減するため工場で事前に施す、従来の"プレハブ工法"的な対応を取る動きもみられる。
継ぎ手メーカーの中には、工場でのプレハブ加工と連動させて、自社開発の共用給湯配管の提供を行っている。ポリブテン管とH種継ぎ手を熱融着して接合したプレハブユニットを工場で製作。現場ではハウジング継ぎ手によるプレハブユニット同士の接続と配管の支持固定作業だけで済むメリットがある。
また配管設備資材のメーカーでは、複数の配管を溶接した配管ユニットの加工・組立工場を新設した。現場に納入するプレハブ工法に対応する。溶接にはロボットを導入して効率化する。建設現場で課題の職人不足と、工期短縮に応える。
これとは別に、空調機器メーカーでは部材の構造見直しにより、施工の手間を減らす省人・省力化対応の機器提供を進めている。
技能労働者の不足傾向拡大
メーカーが施工の効率化に重点をおく中で、実際の現場の現状はどうか-。建設工事に関わる技能労働者の状況は、不足傾向が拡大している。
国土交通省が発表した24年2月の建設労働需給調査によると、全国の8職種の過不足率は1・7%の不足で、前月に比べ0・1ポイント不足幅が広がり、前年同月比では0・7ポイント不足幅が拡大した。
職種別では8職種すべてが6カ月連続の不足となった。このうち配管工は2・2%の不足で、前月比では0・4ポイント不足幅が縮小。前年同月比では0・7ポイント不足幅が広がった。
今後の労働者確保について、5月の見通しは「困難」が前年同月に比べ上昇し、「容易」は下降している。
時間外労働の上限規制が適用された建設業界の「2024年問題」もあり、配管機材のメーカーにも、工期の短縮や省人・省力、さらに経験の浅い作業者にも施工が容易な機材提供へのニースが今後さらに広がりそうだ。
進む人口減少にあって、人手不足を背景に、施工時の省力化に寄与する機材を提供するメーカーや商社にとっても、次代を担う人材確保は重要課題。先の展示会主催者で、卸団体の大阪管工機材商業協同組合(大阪市西区)では展示会を使って、大学生に業界の理解促進を図る「業界研究イベント」を実施している。
出展者ブースをめぐる企画などを通して、実際に製品などを見てもらい、業界への就職につながる機会提供を支援するのが目的。今回の展示会には、25年以降の大学など卒業予定者39人が参加した。
同団体ではまた、新たな採用ルートの確保や従業員のスキルアップを目的に、昨年12月に大阪府立北大阪高等職業技術専門校(大阪府枚方市)の説明会を同校で実施した。
組合員や会員企業などを対象にした説明会で、同校への求人手続きや在職者向けの職業訓練講座の説明、訓練科目全7科目の見学などを行った。
同校は地域の企業、大学と連携し、モノづくり(機械、制御系)や建築分野への就職に直結した訓練を実施。企業ニーズに対応した技術者の育成を目的としている。
同団体ではこうした組合員などの採用支援を目的とした機会提供を今後も実施していく方針。