-
業種・地域から探す
続きの記事
兵庫・神戸産業界
2024年の幕が開けた。神戸市中心部の三宮は再整備が進むほか、神戸のシンボル「神戸ポートタワー」のリニューアルオープンが予定されるなど、神戸が未来に向けて躍進する年となる。一方で人手不足など、企業を悩ませる課題は山積したままだ。阪神・淡路大震災から29年を経て、兵庫・神戸経済の成長戦略をどう描くか。自治体や産業界トップに展望を聞くとともに、地元経済の今を紹介する。
2024年トップメッセージ わが社の抱負―4
大型投資、確実に成功へ/神戸天然物化学社長 真岡 宅哉氏
当社は有機やバイオ技術を用いて、研究から量産まで幅広いスケールで受託合成を手がけています。
2023年、出雲工場(島根県出雲市)の高度な金属不純物管理に対応した製造棟と、バイオリサーチセンター(神戸市西区)の原薬製造棟という大型投資2件を決断しました。まずはこれらを確実に成功させなければなりません。
また2023年はアカデミアとの連携が活発化した年でもありました。当社の長期的な成長につなげるとともに、先端的な研究を世に送り出す手助けをしていきたいと考えています。
多様化の時代において、働きやすい環境整備にも取り組みます。当社では2024年度、新しい3カ年の中期経営計画が始まります。「サイエンスを楽しむ」という社風をさらに根付かせ、社員がより働きがいや生きがいを持てる会社にしていきます。
社員大切に働きやすい職場つくる/カルモ鋳工社長 髙橋 直哉氏
2023年は景況感が徐々に戻りつつあったものの、紛争や天災など国際的な情勢に振り回される1年でした。このような中、エネルギーや原材料価格高騰の影響で、これまでどおりの製品価格を維持することは難しいということを取引先に丁寧に説明してきました。加えて賃上げや人手不足も本格化しており、24年はこういった課題解決の取り組みも求められます。重要なのは社員を大切にし、働きやすい職場をつくるということです。
モノづくりについてもこれまでどおりの〝安くて良いものを作る〟ではなく、付加価値を高めて〝適正価格で提供する〟を目指します。これが中小企業の生きる道であると考えています。
人材生かして独自技術追求/SEAVAC社長 清水 博之氏
100年企業を目指す中、人材採用・育成に注力します。採用の仕組みづくりとして、地方の国公立大学の理系学生に強みを持つリードエフォート(兵庫県尼崎市)と連携、採用に至りました。次は育成という第2フェーズに入りました。
また幹部社員も層が厚くなりレベルも上がって役員との対話も深まり、企業としての成長につながっています。双方に現状を打開しなければという感覚が生まれた証で心強く思います。
非間接部門は基幹技術の確立へ向けた独自技術の追求を掲げ、社内の認識も得ました。70年を超える歴史からコーティングのノウハウの蓄積に自信はありますが、新たな取り組みへの意識付けに独自技術の追求と特許取得が欠かせません。その実現には人材が必要で活躍の場となるだけに、優れた技術を有する企業であることを人材採用のPRに活用する考えです。
個人的には自ら率先して営業に打って出て、営業支援やマーケティングサポートに力を入れていきます。
〝挑む〟キーワードに成長・発展/ゼロ精工社長 佐藤 雅弘氏
2024年はチャレンジの年になります。キーワードは”挑む”です。昨年秋ごろから若干、停滞感が出てきていることもあり、受け身の姿勢を変えて営業活動に力を入れるなど、新規開拓へ向けアクションを起こします。
その半面、社内には余力が生まれているため、これまで取り組めなかったことに挑戦します。今しかできない、今だからできることは多いはずで、チャンスのときでもあります。技術開発や個人のスキルアップが中心になるが、しっかりこなせれば、状況が改善したときの備えにもなります。
商品化を目指してきた金管尺八も完成形に近づきつつあります。素材にはマグネシウム合金を使用しています。扱いが難しいがあえて使ったのは、金属では最軽量で今後、自動車や航空機での採用が増えると見込むからです。長い目で見たとき、この間蓄積したノウハウが生かせると判断しました。まさにチャレンジの一環で、こうした取り組みを通じ、将来の成長・発展につなげてまいります。
事業者に寄り添った経営支援展開/兵庫県信用保証協会理事長 古川 直行氏
コロナ禍による行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進みましたが、円安を背景とする物価高騰、深刻化する人手不足など、事業者の皆さまを取り巻く経営環境は厳しい状況であると思われます。
当協会は、その様な皆さまに寄り添い、個々の実情に応じた経営課題を解決するため、資金繰り支援、経営改善支援および事業再生支援等を積極的に提供していきます。また、中小企業支援ネットワークとなる「兵庫県地域支援金融会議」を活用し、金融機関等と経営支援事例を共有するなどの横展開をより一層拡大します。
さらに、持続可能な社会の実現に向け、SDGs支援保証「ステップ」やSDGs社債保証の活用などによって、SDGsに取り組む皆さまを積極的に後押ししていきます。
非価格競争展開を目標に/二六製作所社長 八田 明彦氏
創業80年を越える磁石専門商社として、豊富な品ぞろえやレスポンスの早さ、気配りの利いた対応で高評価を得ています。企業規模を問わず永続性の追求のため体質強化が重要視されています。
当社は付加価値創出から非価格競争展開を行動方針に掲げています。徹底した顧客フォローによる認知定着と新規案件の獲得や入・出荷管理の厳格化に向け、ISO各手順の厳守と人材育成など重点に取り組みます。
全従業員が「誠実なものづくり」の社風で培われた琴線に触れる対応を常に心がけ、今後もより広く専門的に磁石にこだわり、必要とされる企業であり続けます。