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部品大賞 NTN 高効率固定式等速ジョイント(CFJ)
ドライブシャフトは自動車のエンジンやモーターの動力をタイヤに伝える駆動部品。ドライブシャフトを構成する固定式等速ジョイント(CVJ)は、タイヤ側に取り付け作動角を大きくとれる。しかしエンジン側に取り付け、軸方向にスライドできる摺動(しゅうどう)式CVJに比べ、トルク(動力)の損失率が大きい。
高効率固定式CVJ(CFJ)はその弱点を克服し、自社従来品比でトルク損失率を50%以上低減した。CFJは転動溝(トラック)を備える内輪と外輪、回転トルクを伝達するボール8個、ボールを保持するケージからなる。CVJがトルクを伝えると、ボールがケージを押す力は一方向に片寄り、部品間に摩擦が起きトルクを損失する。CVJの取り付け角度が大きくなるほど、ボールがケージを押す力は大きくなり、トルクの損失が増える。
CFJは隣のトラックが互いに傾斜した独自構造により、隣合うボールがケージを押す力の方向を交互にして力の片寄りを抑え、トルク損失率を50%以上減らした。その構造のためCVJの取り付け角度が大きくなっても、トルク損失率の増加を大幅に抑える。
業界最高水準となる高効率性や大きな取り付け角度でのトルク損失低減が評価され、まず国内外の自動車メーカー数社から、スポーツ多目的車(SUV)用に受注した。
CFJは世界で市場が拡大するSUVやハイブリッド車(HV)、急速に普及するEVに特に適する。車高が高いSUVや、動力源を車両端に配置する傾向のあるEVほど、大きな取り付け角度にできるCFJの優位性は強い。
トルク損失の大きな低減によるCO2削減も見込め、自動車の省燃費・電費化による環境負荷の軽減に寄与する。
社会課題解決に貢献
このたびは「“超”モノづくり部品大賞(大賞)」を賜り、誠に光栄に存じます。
当社は1918年の創業以来、機械の回転をなめらかにするベアリング(軸受)の開発・提供を通じて省エネルギー化に貢献してまいりました。現在、自動車分野においては、EV・電動化ニーズに対応した基盤商品の高機能化やコア技術を活用した電動モジュール商品の開発に取り組んでいます。
今回受賞した高効率固定式等速ジョイント「CFJ」は、当社の独自構造を採用し、トルク損失率を従来品比で50%以上低減した世界最高水準の伝達効率をもつ商品で、自動車の省燃費・電費化に貢献します。
本賞を一層の励みとし、モノづくり企業として市場ニーズに対応する商品の提供を通じて市場の成長を支えるとともに、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)など社会課題の解決にも貢献してまいります。
モノづくり日本会議共同議長賞 安川電機
安川電機のオープナーロボット「MOTOMAN(モートマン)―MPO40」は、自動車製造現場のコンベヤー連続搬送塗装ラインに組み込んで利用する。
塗装工程において、塗装ロボットと協調しながらエンジンフードやテールゲートなどの開閉を行う。塗装ロボットの塗装効率向上だけでなく、設備レイアウトの最適化にも貢献する部品として大きな役割が期待できる。
従来は塗装ロボットの先端部に塗装用ガンと、エンジンフードなどを開閉するハンドの両方を装備して対応してきたが、開閉中は塗装作業ができなくなる、塗装範囲が制限されるなど課題があった。
モートマン―MPO40は天井部に設置が可能で、塗装ロボットとの干渉を避けながら製品にアクセスできる。
最大リーチは4550ミリメートルと長く、走行機構なしでコンベヤー搬送される自動車ボディーへの追従が可能。また可搬質量も40キログラムを確保したことで、大型化するテールゲートにも対応する。
コンパクト化実現
栄えある受賞はこの上ない喜びであり、心より感謝申し上げます。近年はカーボンニュートラルを背景に、塗装工程の効率化と塗装ブースの省エネ、コンパクト化の要求が増しています。
車体の塗装工程の自動化において、ロボットを含む各機能の高度化に加え、全体を俯瞰(ふかん)したソリューション目線からの機器のあり方を追求し開発したのが今回のオープナーロボットです。
これにより、塗装工程全体のコンパクト化を実現し、省力・省エネに大きく貢献すると共に、設備の簡素化による変種変量に対するロバスト(頑強)なシステムを構築することができました。今後もコトの目線での追求による、価値ある製品を提供してまいります。
ものづくり生命文明機構理事長賞 スギノマシン
省エネパッケージ「JCC-eSmart」は、同社の高圧水部品洗浄機「JCC」シリーズの高圧水発生ポンプに組み込むことで消費電力を大幅に削減。生産コストとCO2の低減に貢献できる。
同パッケージは、サーボモーター制御により洗浄箇所ごとに最適な水圧で洗浄できる。
低圧洗浄を行う際はポンプからの噴射圧力をインバーターで調整。最適な圧力・流量で噴射できるため圧力の損失がない。ポンプの運転・停止も瞬時に切り替え可能で、非洗浄時は稼働を停止する。これらの機能で無駄な消費電力を削減し、従来比56・7%減の省エネを実現した。
従来のポンプは一定の圧力でしか水を噴射できず、必要以上の高圧水で洗浄していた。低圧洗浄を行う際は噴射した水を最適な流量に絞るため圧力を損失していた。ポンプの運転・停止も頻繁に切り替えできず、非洗浄時も常に稼働していた。
こうした無駄を同パッケージが解消した。
時代の要請に対応
このたびは「ものづくり生命文明機構 理事長賞」という栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。
当社の高圧水部品洗浄機「JCCシリーズ」は、自動車産業を中心に国内外で数多くのご採用をいただき、認知度も高く、すでに一つのブランドとして確立しています。そこに「JCC-eSmart」を組み込み、CO2削減という時代の要請に対応したことで、同シリーズがあらためて評価されたと感じています。
当社は経営方針に「脱炭素社会へ技術で貢献」を掲げています。今後も「切る・削る・洗う・磨く・砕く・解す」の六つの「超技術」を核に、CO2削減やカーボンニュートラルの実現に貢献していきたいと思います。